経済ニュースでは必ずといってもよいほど耳にする金融政策の用語。なんとなくわかっているつもりでも、いざ仕事で使うときや、アイスブレイクで話題になったときなどに「正しく理解できるかというと、ちょっと自信がない」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、金融政策の基礎用語を20代初心者向けに解説します。
そもそも「金融政策」とは
金融政策とは、中央銀行(日本の場合は日本銀行)が、物価の安定を図るために通貨および金融の調節を行うことです。具体的には、公開市場操作(オペレーション)などの手段で長短金利を誘導したり、資産の買入れなどを行ったりします。
政府が行う「財政政策」は、規模の大きな国家予算を管理することで経済活動に影響を与えるものです。これに対し、中央銀行(日銀)がおこなう「金融政策」は、いわゆる「利上げ・利下げ」を決定するもので、より直接的に金融市場に働きかけます。
ちなみに日本銀行の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を「金融政策決定会合」といい、年8回、各2日間開催されます。会合終了後は直ちにその決定内容が公表され、その内容によって市場が敏感に反応するため、金融政策決定会合に対する市場関係者の注目度は極めて高いのが特徴です。
これだけはおさえておきたい!金融政策の基礎用語
ここでは、金融政策の重要な基礎用語として、「政策金利」「買いオペ・売りオペ」「金融緩和」に絞って解説します。
「政策金利」
政策金利とは、中央銀行が、景気や物価の安定などといった金融政策上の目的を達成するために設定する短期金利(誘導目標金利)のことです。一般的に、インフレ傾向のときはこの政策金利を引き上げて景気の過熱を抑え、デフレ傾向のときは政策金利を引き下げて経済活動の活発化を促します。
ちなみに2020年7月現在の日銀の政策金利はマイナス0.1%。これは、金融機関が日銀口座に預金を預け入れるときには0.1%の金利を支払わなければいけないということです。
政策金利は例えば金融機関の預金利率など、消費者の身近なところに影響してきます。
「買いオペ&売りオペ」(公開市場操作)
市場の通貨流通量を調節する政策手段のひとつに「公開市場操作(オペレーション)」があります。主な公開市場操作は「買いオペ」と「売りオペ」の2種です。
「買いオペ」とは、日銀が市場から債券(国債)や手形を買うことです。これにより、市場の通貨流通量を増やし、物価の下落を抑えて金利を引き下げる効果があるためデフレ傾向の時に行われます。
「売りオペ」とは、日銀が市場で債券(国債)や手形を売ることです。市場の通貨流通量を減らすことで金利を上昇させる効果があります。インフレで物価上昇の傾向にあるときには、物価の下落を目的に「売りオペ」を実施するという仕組みです。
「金融緩和」
金融緩和とは、中央銀行が、公開市場操作(オペレーション)などの手段をつかって政策金利を引き下げ、資金の供給量を増やすことです。つまり、貸出金利を下げることで世の中に出回るお金を増やして、経済活動を刺激して景気を良くしようとする行為です。
しかしながら、現在、日本の政策金利はすでにゼロに近く、これ以上の引き下げは難しい状況であるのも事実です。そこで行われるのが、「量的緩和」。これは金利の引き下げではなく、中央銀行が市場に供給する資金の量を増やす、つまりマネタリーベースを拡大することで金融緩和を行う政策と言えます。
日銀は2016年1月に、2%の物価安定目標の早期実現を目指して「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入、同年9月には物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するという「オーバーシュート型コミットメント」を決定しています。