貯金がなくても資産運用はスタートできる
――ときどき「資産運用を始めるのはお金が貯まってからの方がいい」という意見を耳にします。篠原さんはどのように考えていますか?
私は、貯金がなくても投資は始められると考えています。例えば固定費を見直すだけでも、月の支出を数万円削減することができると思うので、その分を投資にまわすこともできますよね。
また、お金を貯めたいのであれば「収入―支出=貯蓄」という発想はやめて、強制的に口座から移すようにすべきです。
口座を3つに分けて、ひとつは給料が入る口座で、自動的に給料の数割を2番目の口座に自動送金して貯金します。独身は3割、夫婦共働きは2割など、無理のない額がいいですね。
3番目の口座は「自己投資用」として、手取りの2割程度を入れます。本の購入や意味のあるランチ会への出費にしたり、将来、仕事で英語を使いたいなら英会話を習う費用にするとか。「この口座から2万円を投資信託にまわす」でもいいですし。
自己投資に使ったお金は裏切らない
――自己投資用の口座を作る、というのは初めて聞きました。
僕もFPを目指していた時、計150万円くらいを自己投資で使いました。毎月、自己投資用のお金が余っていたら「怠けているな」と思うようにしていました。お陰で浪費も一切なくなりましたし、FPを仕事にして、昔自己投資で使ったお金が、今は何十倍、何百倍になって返ってきています。
過去には、例えば数十万円のセミナーに参加したけれどあまりよくなかった……など、自己投資をして失敗したこともありましたが(笑)、それはそれで目利き力が上がったので、必要な経験だったと思います。自己投資のお金は絶対裏切らないと、自分で体験して確信しています。
節約などをするのが悪いわけではありませんが、「お金を産むためにお金を使う」という発想を持った方がいいと思います。例えばFPに料金を支払ってお金の相談をすることで、自分の支出を見直して削減できることができたら、これも投資ですよね。
ただ、自己投資のお金はすぐには返ってこないので、時間がかかると考えておくといいと思います。
「FP」のイメージをよい意味で裏切る人柄
さすが元お笑い芸人なだけあり、一般的に〝カタそうな〟イメージのあるFPには見えないほど気さくで、思わず話を聞いてもらいたくなる雰囲気です。
でも、なぜ篠原さんはお笑い芸人からFPに転身したのでしょう?次回は、篠原さんがFPになったきっかけなどをお伺いします(後編に続く)
取材に協力してくれたのは…
篠原 充彦さん
元漫才師のファイナンシャル・プランナー(CFP)。吉本総合芸能学院(NSC)卒業後、テレビなどで活躍したが、吉本心斎橋筋2丁目劇場の閉館に伴いコンビを解散。飛び込み営業の会社に就職した後、FPとして独立。全国の高校、大学、企業、病院などで「笑い」と「お金」を融合させた『お笑いマネー講座』を展開し、人気を集めている。著書に『世界一笑えてわかりやすいお金の増やし方』(イースト・プレス)
文・Y子(フリーライター)/DAILY ANDS
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