私たちの身近にある外食産業。カフェやファミレスなど、普段の生活には欠かせない存在ですよね。何気なく利用しているそれぞれのお店は名前も業態も別々のため、当然運営している企業も別だと思いがち。でも実は意外なお店同士が連携し、“親会社と子会社の関係”なこともあるんです!

そこで今回は、「意外な企業を親会社に持つお店」をご紹介します。企業間の関係を知ることは、ビジネスパーソンとしてもプラスになるでしょう!

そもそも親会社・子会社って?

親会社、子会社の定義は「会社法」で定められています。会社法とは、会社の設立や運営に関するルールをまとめた法律。

会社法では、“ほかの会社の議決権を半数以上持っている会社”を親会社と定義しています。

議決権が半数を下回っていても、例えば取締役会の構成員の半分以上が自社のメンバーだった場合など、一定の要件を満たすことで親会社とされることもあります。

「ケンタッキーフライドチキン」の親会社は?

誰しもきっと一度は食べたことがあるケンタッキーのフライドチキン。ケンタッキーに「親会社がある」ということ自体あまり意識したことはないかもしれませんね。

親会社は総合商社の「三菱商事」

このケンタッキーフライドチキンをチェーン展開する「日本KFCホールディングス株式会社」の親会社は、総合商社の「三菱商事株式会社」です。

もともと日本KFCホールディングスは、1970年に米国のKFCコーポレーションと三菱商事の折半出資で誕生した会社。その後2007年に三菱商事の子会社となりました。

親会社との連携で一貫した養鶏システムを導入

ケンタッキーフライドチキンで使われるチキンの約半分は三菱商事から調達されています。“えさ”の原料である穀物の集荷から、飼料製造、さらにそれを食べて育つ鶏肉の生産までを三菱商事グループが一貫して取り持っています。

親会社である三菱商事との強固な連携が、ケンタッキーフライドチキンのブランド力を下支えしているといえるでしょう。

シュークリームと「永谷園」が親子!?

総合商社に限らず、事業多角化のために食品・外食ブランドを子会社化する動きは、このほかにも数多くあります。

「ビアードパパの作りたて工房」の親会社は「永谷園」

ひげのおじいさんのキャラクターとパッと目を引くイエローが目印のビアードパパの作りたて工房。注文を受けてからその場でクリームを詰め、いつでも作りたての状態を提供しているシュークリーム専門店です。

ビアードパパを運営するのは、「株式会社麦の穂」。この会社の親会社は、お茶漬けで有名な「株式会社永谷園」を有する「株式会社永谷園ホールディングス」です。

シュークリームとお茶漬けの会社に関係があるとは驚きですよね。

「永谷園」の新分野へのチャレンジ

「株式会社麦の穂」の「永谷園ホールディングス」への子会社化は、2013年に決定しました。

かねてから少子高齢化に伴う国内の食品市場縮小を予想していた永谷園。市場縮小にともなう競争激化に対応していくためには、“新しい領域にチャレンジすることが必須”と考え、株式会社麦の穂の全株式を取得することにしたそうです。

“シュークリーム”と“お茶漬け”の連携にはこういった背景があったのですね。

2019年には、「永谷園のお茶漬けシュー」という異色の限定商品を発売したビアードパパ。こんなコラボが生まれるのも、親子関係ならではといえるのではないでしょうか。

「タリーズコーヒー」の親会社は“日本茶”の「伊藤園」

落ち着いた店内の雰囲気も魅力的なタリーズコーヒー。仕事や勉強の合間や、友達とのひとときに利用する人も多いでしょう。このタリーズコーヒーにも親会社が存在しています。

コーヒー事業強化のために

タリーズコーヒーを運営するのは「タリーズコーヒージャパン株式会社」。親会社は、「お~いお茶」の「株式会社伊藤園」です。コーヒーチェーンの親会社が“日本茶”で有名な会社だとはなんだか不思議な気もしますね。

伊藤園は、2006年にタリーズコーヒージャパン株式会社(当時はフードエックス・グローブ株式会社)を子会社としました。この子会社化の背景としては、「コーヒー飲料にも力を入れていきたい」という伊藤園の思惑があったようです。

タリーズの味を缶コーヒーで

子会社化してから伊藤園は、タリーズコーヒーの実店舗の運営だけでなく「TULLY’S COFFEE」ブランドの缶コーヒーを発売しました。バリスタが監修しまるでカフェで味わうような香りと味を再現。

コンビニなどでも手軽に買えるので飲んだことがあるという人も多いでしょう。このような商品化への動きも、伊藤園との連携から生まれたと言えるのではないでしょうか。