日本は2001年から「ゼロ金利・量的緩和」を実施
一方、日本では、今回の新型コロナショック以前から、デフレ脱却と景気回復を目的として、ゼロ金利政策と量的緩和策が採用されていました。
2001年に「量的緩和政策」が開始され、2010年には「包括的な金融緩和政策」のもとで実質ゼロ金利政策が導入されて、資産の買い入れ(長期国債、短期国債、コマーシャルペーパー、社債、ETF、J−REITなど)も実施されました。
その後、2013年に「量的・質的金融緩和」、2016年に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が開始されるなど、日銀は金融緩和策を続けています。
コロナショックで金融緩和を一層強化
そして、2020年3月16日の日銀金融政策決定会合では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場や経済の動揺を抑えるための措置として、ETF(上場投資信託)の買い入れ目標を年間6兆円から12兆円に、J-REIT(不動産投資信託)の購入目標を900億円から1,800億円にいずれも倍増することが決定されました。
同年4月21日の東京株式市場で、日銀による1日当たりのETF買い入れ額は1,202億円(2月までは703億円)、J-REITの買い入れ額は20億円(同12億円)に増額され、株式市場の下支え要因として働いています。
金融政策は「出口」が難しい
このようにゼロ金利と量的緩和の金融政策は、景気回復や企業の設備投資活発化の後押し、物価上昇によるデフレ脱却というメリットがある一方、物価上昇が行き過ぎると家計を圧迫するなど国民生活に直接的な影響を与えてくることになります。
このほか、過度のインフレやバブル経済が生じる温床ともなるので、ゼロ金利・量的緩和政策を終わらせるタイミングの難しさがあります。これは一般に言われる「出口戦略」です。
さらに、貸し出す側の金融機関は「利ザヤ」の低下で儲けが減ることから経営の効率化を迫られることになってきます。
「金融」に加えて「財政」政策も必要
景気の悪化を乗り切るための対策とされる「ゼロ金利」と「量的緩和」について解説しましたが、これらの金融対策に加えて緊急経済対策を含めた政府による財政出動も求められることになります。そして、コロナウイルスの感染拡大が収束した後には、金融当局の「出口戦略」を見据えたタイムリーな舵取りが求められることになってくるでしょう。
外出自粛が続く5月ですが、報道された金融政策をお家時間で勉強してみてはいかがでしょうか?通常時に戻った際にきっとビジネスに役立つ、自己投資な時間となるはずです!
提供・UpU
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