ラシク・インタビューvol.135

板井恒理さん
安井亜希さん

4月、突然FBのタイムラインに流れてきた「離婚しました」の文字。そして離婚届を手に、両者共に充足した笑顔。「ん?」一瞬目を疑い、理解するのに時間がかかってしまうこの状況。

「10年間の結婚生活を経て離婚しました、いわゆる円満離婚というやつです。」
(板井恒理さんのFBより)

「愛すべき元旦那!!!ありがとう、あなたに会えてほんとによかった!!」
(安井亜希さんのFBより)

彼らの投稿を読み進めると、不仲で別れたわけでもなく、引き続き一緒に事業も続行。住まいが別になる、以外は生活も大幅に変わることなく、子どもたちもこれまで通り二人で愛情を注いで育てていくそう。

じゃあ、なぜ別れたの? 子どもたちは?
夫婦という形ではない、新しい関係性ってこと?
もしかして、自分たちだけのパートナーシップを見つけた?

疑問が次々と湧き上がる一方で、自分の中で「夫婦はこうあるべき」姿に囚われていることに気がついたのです。

夫婦である以上、一緒に住んで、お互い協力して、子どもたちを一緒に育てる。そこにお互い、様々な自己犠牲があったとしても「夫婦だから」「家族だから」と蓋をしてはいないだろうか? もし蓋をしていたとしたら、どこかに歪みが出てしまうのでは……? その「あるべき姿」を維持するために生じる歪みって、なんの意味があるのだろう。

では、このお二人はどうやって円満離婚をして、新たなカタチにたどり着いたのか。
この二人の答えなので、ほかの人が聞いても参考にはならないかもしれません。そもそも、夫婦について他人がとやかく言うことでもありません。ただ、この写真の笑顔のワケを知りたい、その一心で板井恒理さん、安井亜希さん元夫婦にインタビューをお願いしました。

タイプが違いすぎる二人、でも分かち合うことを諦めたくなかった

編集部:FBではとにかく驚きましたが、まず10年間の結婚生活に終止符を打たれた経緯を教えてください。

安井亜希さん(以下、敬称略。安井):今でも試行錯誤の連続ですが…私たち、タイプが全く違うんです。でも、お互い圧倒的なリスペクトがあり、根の部分で大事にしていることは同じでした。仲も良かったので、9歳、7歳、4歳、1歳の四人の子どもにも恵まれました。

離婚前最後のお正月、安井さんの実家・篠山にて

編集部:え! 四人もいらっしゃるんですか?

安井:はい、もともと私たちは夫婦として仲が悪かった、という訳ではないんです。ただ、タイプが違い過ぎるから、分かち合えないことを分かち合う、そうだよねってなりきれない、そんな嘆きもあるんです。

編集部:分かち合えないことを、分かち合う…… なんとなくわかります。

安井:例えば、私がホロスコープや数秘術にのめり込んだ頃、彼はホロスコープの“ホ”の字や、数秘術の“す”の字が出ると、機嫌が悪くなっていたんです(苦笑)

板井恒理さん(以下、敬称略。板井):自分は昔から理屈っぽい人間で、理屈で説明できない「宇宙」「エネルギー」みたいな話は全く受け容れられないタイプ。ただ、家でも仕事でも安井さんから話される内容が、全て意味不明なんで(苦笑)

安井:自分の世界観を押し付けたい訳ではないけど、私はこの人と分かち合うことを諦めたくなかった。当時も離婚がちらついたけれど、「ここで別れたら分断になるから、今じゃない」って。

板井:でも彼女が僕との関係性を諦めずにきてくれたことで、自分にも変化がありました。

安井:去年の6月、経営者向けにリーダーシップ講座を半年間かけて開催したのです。これまで誘っても見向きもしなかったのに、板井さんが受講生として来てくれたんです。それで「ようやく分かち合えるようになった!本当に見たい世界が見えてきた……!」って思ったら、この人とやりたいことが一つ完了した、役割が終わった、次に組むとしたら違うカタチだと。

板井:僕に足りなかった部分を彼女が届けてくれたので、大いなる感謝はありますね。ただ僕は「夫婦の役割に終わりってある?」と。夫婦は「学習し続ける関係」が理想だと思っていたので。今では「学習しすぎた元夫婦」って呼んでいます(笑)

安井:……それ、最高におもろいな(笑)!

「自分を解放」したい妻、「学習し続ける夫婦」を望む夫

編集部:そこから具体的な話にどう進みましたか?

板井:離婚の話が出たのは今年の1月ぐらい。僕の仕事も忙しくピリピリしていた一方で、彼女は週末、沖縄にバリに東京に。仕事なのか、何をしているかよくわからない状況で(苦笑)

編集部:そこは気になりませんでした?

板井:本当に気にならなくて「なにか大切なことがあるんやろなぁ」って思っていました。昔だったら「その仕事の事業計画出して」って言っていましたけどね(苦笑)

編集部:普通そうなりますよ…… そんなピリピリした1月があった。

板井:そう。1月末にある仕事の打ち上げをしよう、と二人で飲みに言ったんです。その時に安井さんから「離婚を視野に入れて話をしたい」と申し出がありました。

編集部:え! そこで突然? 驚かれました…… よね?

板井:びっくりでしたね。理由は「役割が終わった」と「自分を大解放して生きたい」の2点張り。仕事で僕がイライラしているから、自分が解放できないって意味だと思います。

安井:いやいや、それは共同創造なので! 私は私で、ビビってるのを理由に自分を抑えてたっていうことですよね。“耐えてるロール(ポジション)”が得意だったもので(笑)

この仕事の後の打ち上げにて、まさかの離婚に向けての話し合い……

板井:それ以来、週1回2時間半ぐらいの対話を6回続けました。

安井:その頃は特にお互いのエネルギーを奪い合っていました。そこは愛ゆえの部分もあるのですが、こんなハチャメチャな私を彼は「いいよ」って言ってくれている、心から思ってくれている、だけど受け入れるには少しエネルギー使わないといけない。

編集部:エネルギーの奪い合い、ありますよね。夫婦は共通なことが多いから。

安井:彼自身も子どものこと、お金のこと、私のことも背負ってくれている。そこから解放されたらもっと楽になるだろうな、って。お互い相手のことも自分のことも、うまく循環していくんじゃないかなって思ったのです

板井:離婚して2ヶ月ですが、彼女の羽ばたき感はすごくありますね。今もまだ言語化できていませんが、暫定の離婚理由を言葉にすると「お互いがお互いに自立を求めた」ですね。

安井:「お互いがお互い魂の大解放」です。

板井:この表現の違いの世界観を是非、理解してほしいですね(笑)!

編集部:なるほど……! この違いですね……!