だが、ここに来ての充実ぶりは目を見張るものがあるという。
映画業界関係者は語る。
「かつての吉岡さんは男性ウケは良い反面、ドラマやCMなどで演じた役のイメージなどもあり、ぶりっ子やあざとい印象を持つ人も多く、女性ウケはお世辞にも良くはありませんでした。イケメン俳優の佐藤健さんとの密会報道などもありましたしね。こうした背景もあってか主演ドラマの視聴率でも苦戦が目立っていました。
また、以前にグラビアアイドルとして活動していたにもかかわらず、“グラビアの仕事が嫌だった”といった主旨の発言をしたといった噂が流れ、一部グラビアファンからバッシングを受けたこともありました。実際には発言の一部を切り取られて曲解された部分もあったようですけど。その後も写真集をリリースしていますし、本人もこうした発言の噂を否定していますからね。それが、近年は映画『ハケンアニメ!』や『島守の塔』などの作品での演技が高く評価され、女性視聴者からの支持も高まっています。そうした中で巡り合った『正体』でついに『日本アカデミー賞』の『最優秀助演女優賞』を戴冠することとなりました。
実際のところは、これまでドラマや映画でヒット作に恵まれなかったのは映画の公開規模やドラマの放送時間帯などよりも自分のやりたい脚本を優先して仕事を選んでいたといった背景もあったようです」
そもそも、吉岡といえば小劇場の舞台からキャリアをスタートさせた苦労人としても知られるが、芸能ジャーナリストの竹下光氏もこう話す。
「吉岡さんは15年放送のNHKの朝ドラ『あさが来た』で波瑠さん扮する主人公の友人役で注目を集め、17年放送のTBS系連続ドラマ『カルテット』で悪女役を演じてブレークを果たします。他方、同年放送の同局系連続ドラマ『ごめん、愛してる』では悪女役とは真逆の儚げな清純派ヒロインを好演しており、演技の幅の広さを示しました。その演技力の高さに加えて、癒し系の雰囲気や可愛らしい笑顔などで数多くのCMでも重宝されています。