夫婦で「年収1000万円」以上! それなら“パワーカップル”と呼べる?「手取り・生活費」をもとに生活レベルを検証
「世帯年収1000万円」は、「高収入を得ている家庭」と見られる1つの区切りとしてよく取り上げられる数字で、夫婦ともに高めの収入を得ることで世帯年収1000万円以上を達成している場合は「パワーカップル」とも表現されます。   「パワーカップル」の実際の手取りや生活ぶりはどのようになっているのでしょうか。実際のデータをもとにシミュレーションしてみます。

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そもそも「パワーカップル」とは、いつできた言葉なのか。

「パワーカップル」とは、夫婦がともにフルタイムで働き、高所得を得ているカップルのことを指し、2013年に出版された「夫婦格差社会 ―二極化する結婚の形」(橘木俊詔・迫田さやか著、中央公論新社)の中でこの言葉が使われたことで、広く知られるようになったとされています。
 
この言葉はすでに一般化していますが、12年前当時は「夫婦で年収1000万円以上」が、おおよその目安として「パワーカップル」の定義に用いられていたと筆者は記憶しています。
 
12年間のうちには、社会保険料の増加や消費税率の引き上げ、インフレに伴う給与増などの影響もあり、現在は世帯年収1000万円以上でなく「1400万円以上」がパワーカップルだとされる場合もありますが、明確な定義は無いようです。
 
筆者は、12年前と現在では「年収1000万円世帯」の生活ぶりは大きく異なっていると認識していますので、「パワーカップル」のイメージも見直していく必要があるのではと考えています。
 

2024年現在、「世帯年収1000万円超」勤労世代はどのくらいの割合?

総務省の行う家計調査 家計収支編の2024年分によると、2024年において現役世代(勤労者世帯)のうち、1年間の実収入が1000万円以上(月額で83万3333円以上)である世帯は第IX区分(全世帯のうち、収入額の上位10%~20%に入る区分)に属しており、かなりの高収入世帯であると言えそうです。
 
統計を詳しく見ていくと、第IX区分の「世帯主の配偶者のうち女の有業率」は78.1%で、全区分のうちで最も高くなっています。高収入である家庭の多くは、女性も労働による収入を得ていると言えるでしょう。
 
では、夫婦ともに「年収500万円」で共働きし、16歳未満の子どもを1名を養っている世帯の手取り収入額や暮らしぶりはどのようになっているのでしょうか。東京都在住で、世帯主・配偶者ともに40歳未満(介護保険料はかからない)の家庭の手取り額は以下の通り計算されます。