出典:一般財団法人労務行政研究所「2024年度 新入社員の初任給調査」を基に筆者作成
 
2021年度はコロナ禍の影響を受け、初任給の引き上げ率が大幅に減少しましたが、その後V字回復してきており、2024年度は過去10年間で最高の数値となりました。
 

なぜ多くの企業が新卒の初任給を引き上げているのか

新卒の初任給を引き上げる企業が増えている背景には、以下の3つの要因が考えられます。
 
・新卒採用市場の競争激化
人材不足が深刻化する中、2024年卒の大学生向け求人倍率は2倍近くに上昇しているとされています。今後も求人倍率の上昇が予想されるため、企業は初任給を引き上げて人材確保を図る傾向が強まるかもしれません。
 
・グローバルな競争の激化
国内外での採用競争が激化し、留学生を採用する企業が増加しているようです。また、高スキルの理系学生は、より高額な報酬のために海外企業への就職を選ぶ傾向が高いとされています。
 
・物価の上昇
生活必需品の価格が上昇していることから、企業は従業員の生活を守るために賃金を引き上げる必要があると考えられます。
 

初任給を引き上げた場合の上昇額は「平均1万3746円」

同調査によると、初任給の上昇額はどの学歴でも「1万円~1万2000円未満」が最も多い結果となりました(大学卒のみ「1万4000円~1万6000円未満」も同率最多)。それぞれの学歴の平均上昇額は表3の通りです。
 
表3

高校卒
(事務・技術)一律
短大卒
(事務)
大学卒
(事務・技術)一律
大学院卒修士
平均 1万2420円 1万2892円 1万3746円 1万6057円

出典:一般財団法人労務行政研究所「2024年度 新入社員の初任給調査」を基に筆者作成
 
どの学歴においても1万円以上の増額となっており、おおむね1万2000円~1万6000円ほどの上昇という結果でした。
 

まとめ