この時点で、すでに相手の女性にかなり入れ込んでおり、借金まみれですらありました。そのうえ女性のことを詰問すると、むしろ向こうから離婚を切り出されてしまったのです。真澄さんが「2人でやり直そう」と提案もしますが、夫は首を横に振るばかり。

「離婚して不倫相手といっしょになりたいとまで言われてしまいました。そのため、仕方なく離婚することにしたのです。

 けれど、結婚後に購入した一軒家には抵当権が設定され、別に500万円以上の借金が発覚。約束してもらえたのは、慰謝料の分割支払いのみでした」

◆専業主婦なのに家事スキルすらも低いままだった

惣菜だけの食卓
 真澄さんは専業主婦として長年暮らしていました。にもかかわらず、掃除や家事についても「無理しなくていい」という夫の言葉どおり、手を抜いてしまっていたのです。

 広範囲を念入りに掃除するときには業者を頼み、料理はデパ地下やスーパーの惣菜を活用。空いた時間を満喫してきました。

「ラクで楽しい時間を過ごす代わりに、自分の能力や技術を磨くチャンスを失っていたのです。そのため、私にできることは何もありませんでした。

 アルバイトの面接でもハキハキと答えられず、『そういう感じだと、ウチでは無理だね』と言われたこともあります」

 真澄さんはそうした体験から、「家事だけでもしっかりやっていれば、ヘルパーや掃除業者への就職もできたかもしれません。それに、お金の流れを把握していれば、もっと早く夫の不倫に気づけたのではないか……」と、後悔を口にします。

◆自立心と虎の子貯金の重要性を痛感

「その後はなんとか、ハローワークで面接の練習を重ね、いまはアルバイトを掛け持ちして暮らしています。

 誰かに頼りきってしまうと堕落し、自分の可能性も摘みとってしまうかもしれません。自立心を持って生きること、貯金しておくことは大切だと思いました」

 他人に自分のすべてを委ねて生活することは、一見するとラクで幸せそうかもしれません。ただ、誰かにすべてをやってもらうということは、自分は何もしないということ。