標準報酬月額の上限見直し(等級の追加)は珍しいことではなく、直近では2020年に65万円の等級(32個目の等級)が追加されました。今回も等級を増やし、上限を75万円、79万円、83万円、98万円のいずれかに引き上げてはどうかと検討しています。現行の上限等級と見直し案を比べると次のとおりです。

●現行の32等級(標準報酬月額65万円)は、対象月給が「63万5000円以上」
●見直し案では、32等級(標準報酬月額65万円)の対象月給が「63万5000円以上66万5000円未満」に変わり、さらにその上の等級(標準報酬月額75万円など)が追加される

この結果、平均的な月給(基本給+手当)が66万5000円以上の人が今回の上限見直し案の影響を受け、厚生年金保険料が増えることになります。一部の報道で見られる「賞与を除く年収798万円」という表現は、「月給66万5000円×12」を意味しています。
 

「賞与を除く年収798万円」の立ち所、ポジションは?

厚生労働省によれば、厚生年金保険の被保険者全体(約4200万人)に占める上限該当者の割合は次のとおりです。

●現行65万円(月給65万円前後)の人は全体の6.2%
●75万円案(月給約75万円以上)の人は全体の4.0%
●79万円案(月給約79万円以上)の人は全体の3.5%
●83万円案(月給約83万円以上)の人は全体の3.0%
●98万円案(月給約98万円以上)の人は全体の2.0%

会社員と公務員をランダムに100人選んで月給の高い順に並べると、トップ6人が現行の上限等級「65万円」に属しているといえます。上限該当者の割合は何%が適当なのかも、今回の検討要素の1つです。
 
最終的に75万円から98万円までのどの案で決着するにしても、約4200万人全体に占める割合から見れば、「上限該当者は月給が国内トップクラスの会社員または公務員」といえるのではないでしょうか。他方、賞与を含めた年収でも上限該当者が国内トップクラスとは必ずしもいえません。
 

まとめ