「まったく派手でもないし、下手をすればかなり地味になりそうなものですが、芳根さんの明るさのおかげで多幸感のある番組になっています。まるで親のような目線で芳根さんを見守っているコメントも多いですね。このチャンネルを見て、芳根さんのことが好きになったという人も多いのでは」(同)

俳優・芳根京子がもつ、淡々とした「リアル」

 そんな芳根が演じる研修医・まどかは、ドラマ公式サイトで“イマドキ研修医”と紹介されている。何が“イマドキ”なのかというと――

 コラムニストでドラマ評論家の吉田潮さんは、まどかについて「暑苦しい正義感がなく、がむしゃら、負けず嫌い、跡継ぎの重圧といった言葉とも無縁。作り物の“ドラマの主人公”ではなく、“リアルって案外こうだよね”という説得力がある」と評する。しゃにむに頑張ることだけがよしとされない令和において、医師の卵であるまどかの視点は、「もがく」というより「戸惑う」がしっくりくる。

「まどかは、自分が何もできないことに打ちのめされ、逡巡と戸惑いを抱えながら自分なりに取捨選択をして、確実に成長していく。派手に何かを声高に叫ぶことはないけれど、“いい子ちゃん”でもなく、疑問があれば『それってこういうことでしょうか?』と素直に口にする。

 そして芳根さんは、そういう“芯の強い自分がありながら、どこか淡々としていてしなやかに合理的な判断を下す”役どころが本当にうまい俳優です。派手さはないけど堅実で、会社のイメージでいえば“花形”ではなく、全体を支える総務、経理っぽい感じ」(同)

 芳根はかつて「woman-type」のインタビューで、役柄は“来るもの拒まず”だというスタンスを明かしていたが、それはつまり間口が広く、どんな役にもシンクロするということでもある。

「芳根さんは落ち込んだりはりきったりする感情の見せ方のバランスが絶妙で、キャラクターの心情をすっと視聴者の心に届ける力がある。制作陣が彼女に託したいと思わせる安心感、信頼感があるので、これからのドラマ界ではますます重宝されるのではないかと思います」(同)