メンズメイクに関しては、特に初心者にもわかりやすくなるようこだわり、プロセスも丁寧に説明することを心がけました。

 男性は、メイクしてることが分からないような自然な仕上がりがいいという方も多いと思うので、意外と女性向けより繊細で、工程が細かいから難しいんです。実際、自分にメイクを施しているときもそれをすごく感じました。

 そして初心者の方が多いからこそ、メイクが大好きな私にとっては当たり前のことが当たり前ではないということを意識して、どう言ったら伝わるかな、と俯瞰してプロセスを解説しました。

 ここまで細かく写真を入れるの!? というくらい写真も多く使いました。スポンジやスパチュラといったメイク道具もかなり細かく紹介しているので、性別に関係なく、楽しんでいただけるページになったかなと思います。

◆同じ顔でもメイクで男性的にも女性的にも見せられる

――メンズ寄りのビジュアルでメイク撮影をして、仕上がった自分を見てどう感じましたか?

井手上:そうですね、メンズメイクも研究しているので自信はありました。

 今回、ウィッグも被って、一般的に分かりやすい男性の姿を作り上げました。私の顔だと、もう少し醤油顔っぽい顔になるかなと予想していましたが、塩と砂糖のミックスっていう感じの仕上がりだったのは意外。ちょっと想像と違ったけど、うまく表現できたかなと大満足です。

――漠さんのアレンジメイクとして小悪魔メイクやカジュアルメイクも載っていますが、こちらもずいぶん違った印象でした。

井手上:顔は一つでも、メイクの仕方を変えるだけで、男性っぽさや女性っぽさだけでなく、可愛らしさやかっこよさの印象すら自在にまとうことができる。これは、今回の本で伝えたかったことの一つです。

 何を意識してメイクすればいいのか、その答えは本に書いてあるのでぜひ読んでいただきたいです。

 美容本としてはもちろんですが、いろんな顔の井手上漠が載っているので、その変幻自在っぷりも楽しんでいただけたら嬉しいです。