それでも所在が分からない場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。
 
「不在者財産管理人」とは、行方不明の相続人に代わって、その財産を管理する人です。
 
最高裁判所のWebサイトによれば、
「従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に,家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,財産管理人選任等の処分を行うことができます。このようにして選任された不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。」
とされています。
 
つまり、「不在者財産管理人」は、裁判所の許可を得て、遺産分割協議に参加することができます。ただ実際には、申立てから「不在者財産管理人」の選任、遺産分割協議を経て、分割が完了するまでには相当に時間がかかります。
 

失踪宣告を申し立てる

行方が分からなくなってから7年以上が経過している場合、「失踪宣告を申し立てる」という手段も考えられます。
 
つまり、手を尽くして探したものの、生存が確認できない状況である場合に、家庭裁判所がその人を「死亡した」とみなす制度です。失踪宣告が認められると、その人は、法律上死亡したと扱われ、相続手続きが進められます。
 
流れとしては、家庭裁判所に「失踪宣告」の申し立てを行うと、裁判所が公告(通常6ヶ月間)を行います。その間に行方不明者が現れなければ、失踪宣告が確定し、行方不明となった方の相続手続きが開始されます。
 
ただし、失踪宣告後に本人が生存していたことが明らかとなった場合には、相続のやり直しなどの法的問題が発生する可能性があります。
 

まとめ