後藤 当時はライブハウスって怖いというイメージがあって行けなかったですね。

──高校時代はジャニス・ジョプリンとあぶらだこに傾倒したと。

後藤 そうですね。自分の中で共通する何かがあったんでしょうね。珠ちゃんと同じで、ハマるとそればかり聴くんですよ。

音楽好きが撮っているのが伝わってくるライブシーン

──冒頭に仰っていた翳ラズのライブシーンが本作の大きな見どころですが、お客さんの熱狂がリアルで臨場感がありました。

後藤 お客さんはエキストラではなく、実際このライブに来たいというお客さんに来てもらったんです。撮影中は気付かなかったんですが、完成した映画を観たら、普段僕のライブに来ている人たちがいっぱい映っていました(笑)。いつものライブと違って、演奏シーンは当て振りなので、自分の声がマイクから出ないことに少し違和感がありました。会場に流れていたのも事前に録音された音源なんですが、それでもバンドメンバー役の人たちのノリが良くて、僕もテンションが上がりました。

──珠を演じた伊集院香織さんと面識はあったのでしょうか。

後藤 香織ちゃんが「みるきーうぇい」というバンドをやっていて、関西で一度ご一緒させていただきました。ギターも上手いし、すごく真面目で。珠ちゃんの真面目さは、香織ちゃんの真面目さそのもの。かなり役に近いと思います。台本を読んだときに、「これを香織ちゃんが演じるんや」と楽しみでしたし、完成した映画を観て、「やっぱり香織ちゃんやな」と感じました。

──完成した映画を観た印象はいかがでしたか?

後藤 台本を読んだときは、「これをどうやってまとめるんだろう」と思ったんですが、しっちゃかめっちゃかになっていながらも、岡本監督らしく綺麗にまとまっていました。ライブシーンも音楽好きが撮っているなというのが伝わってきて、すごく大事にしているなと。普通の映画のライブシーンよりも長く時間を使っているところも見ごたえがありました。

何かをしたいという気持ちがあって、それがおかしな方向にねじ曲がった