
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
年金額の改定はどのように行われるのか
来年度は受給額の水準が上がる年金ですが、どのようなルールで変動するのでしょうか。実は年金は単純に毎年上がるわけではなく、前年の物価や賃金の変動率に応じて改定されます。つまり、時間差はありますが、物価や賃金が上がらないと年金も増えません。
さらに、「マクロ経済スライド」と呼ばれる、公的年金加入者総数や平均寿命の伸びなどを勘案して設定される「スライド調整率」が、物価や賃金の伸びから控除されます。そのため、計算上は、実際の物価上昇よりも低い水準でしか年金は増えないのです。
実際に、先日発表された2025年度の年金額の改定率は2024年度比1.9%の上昇ですが、前年の物価変動率は2.7%で、物価のほうが0.8%も高い上昇率になっています。ちなみに、2024年度は前年の物価変動率3.2%に対し年金は2.7%、2023年度は前年の物価変動率2.5%に対し2.2%(新規裁定者)しか伸びていません。このことからも、年金の増加は物価上昇に追いついていないことが分かります。
老後の生活費はどのように推移しているのか
では、ここ数年の物価上昇で老後の生活費はどうなっているのでしょうか。図表1に、総務省統計局の家計調査から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)」の月平均消費支出と、生活費の不足額の推移をまとめてみました。
図表1
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
消費支出月額 | 22万4436円 | 23万6696円 | 25万959円 |
非消費支出月額 | 3万664円 | 3万1812円 | 3万1538円 |
月額支出合計 | 25万5100円 | 26万8508円 | 28万2497円 |
対前年比 | - | 5.2%増 | 5.2%増 |
収入に対する不足額 | 1万8525円 | 2万2270円 | 3万7916円 |