交番に「財布の落とし物」を届けたけど、持ち主からのお礼はなし! お礼って「義務」じゃないの? 報労金について解説
落ちていた財布を交番に届け、持ち主が見つかると、拾った人にはお礼を受け取る権利があると聞いたことがある人は多いでしょう。   お礼の金額は人それぞれですが、なかには特にお礼はないというケースもあるようです。お金が目的で交番に届けたわけではないとしても、「お礼はない」と言われると何となくモヤモヤしてしまうかもしれません。   本記事では、財布の落とし主が拾い主にお礼をする義務があるのか、お礼を受け取れなかった拾い主が起こせる対応としては何かあるのかについて解説します。

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財布の落とし主は拾い主に「報労金」を支払う義務があるが、支払わなくても罰則はない

落とし物の取扱いについては「遺失物法」と呼ばれる法律でルールが定められています。
 
財布などの落とし物を拾った人は、以下のいずれかの対応をすることが義務付けられています。
 

・落とし主が分かっている場合には、落とし物を落とし主に返還する義務がある
・落とし主が分からない場合には、警察署に提出する義務がある

 
また、落とし主は、落とし物の返還を受けた場合、「報労金」を支払わなければならないとされています。
 
謝礼の金額については「落とし物の金額の5~20%」に相当する金額の支払いが義務付けられています。仮に財布のなかに10万円が入っていて、財布に価値がないと仮定すると、謝礼の金額は5000~2万円程度が目安になる計算です。
 
ただし、遺失物法では報労金の支払い義務は定められているものの、守らなかったときの罰則規定はありません。よって、仮に落とし主が拾い主に謝礼を渡さなかったとしても、何らかの刑罰や罰金が科されるわけではありません。
 
つまり、謝礼を渡すのは落とし主の義務ではありますが、その義務が履行されずに、拾い主が何ももらえないという可能性もあります。
 

報労金がない場合は裁判も可能だが裁判費用や労力がかかる