奨学金は、経済的な理由で進学が難しい学生に向けて学費の貸与や給付を行う制度で、国や地方自治体を始め、民間団体や学校独自のものなど、さまざまな種類があります。また、医学部を目指す学生や医学部で学んでいる学生には、通常の奨学金とは別に奨学金制度が設けられていることがありますので見ていきましょう。
地域枠における奨学金制度
「地域枠」入試で医学部に入った場合、就学金貸与制度の利用が条件になる場合があります。「地域枠」とは、医師が不足している地域において、卒業後に一定期間その地域で医療に従事することを条件に学生を募集する制度です。
貸与額は各都道府県が定めた金額で、卒業後一定期間を指定された医療機関で勤務すると返還が免除されるようです。
矯正医官修学資金貸与制度
「矯正医官」とは刑務所、拘置所、少年院などの全国の矯正施設で医療や健康管理を行う医師のことを指します。矯正医官を希望する大学3年生以上の医学部生には、無利息で利用できる奨学金制度があり、これを「矯正医官修学資金貸与制度」といいます。
令和6年度の貸与額は月額15万円で、大学を卒業後に医師法で定められた臨床研修終了後すぐに、3年以上矯正医官として勤務した場合は、全額または一部の返還が免除されます。
世帯年収「600万円」で私立の医学部は厳しいと考えられる
私立大学の医学部への進学は、世帯年収「600万円」のご家庭では経済的にかなり厳しいことが予想されます。なぜなら、私立大学の医学部は6年間で総額2000万円~5000万円程度と、高額な費用が必要になるためです。これは学費のみの金額であるため、自宅から離れて一人暮らしする場合には、さらに費用はかさむでしょう。
国立大学医学部と私立大学医歯系学部進学者の初年度に支払った金額を比べると、国立大学では約81万7800円である一方、私立大学の医歯系学部では、約482万1704円と国立大学の6倍近くの費用が必要になることもあるようです。
経済的負担を減らすためには、奨学金制度の活用を検討してみるのも一つの方法です。医学部を目指す学生や医学部の学生向けに、卒業後にあらかじめ指定された勤務場所で一定期間働くと、返済の全額または一部が免除になる奨学金制度があります。詳細を知りたい方は各自治体や関係機関のホームページを確認してみてください。