女性のキャリアは一本道じゃないからこそ、小さな “種まき“ をし続けよう
編集部:中村さんは、今まさにWebデザイナーとしての道を歩み出そうとしていますが、スクールに通ってゼロからスキルを身につけてまでWebの道に進もうと思った理由はなんですか?
中村:以前、セレクトショップを開業した際にECサイトを立ち上げて運営していたこともあり、Webを使って仕事がしたいなというのは前々から考えていたことでした。でも、当時は夫の海外転勤に帯同するため仕事を辞めてしまって。経歴に一貫性がないことをコンプレックスに感じてきたこともあり、「今からでも遅くない! キャリアをつくっていこう!」という想いでチャレンジしたんです。
編集部:キャリアの一貫性…… 働く女性がぶつかりやすい部分ですよね。とはいえ、中村さんはその都度できることを見つけてやってきたでしょうからそんなに自信を失う必要はない気がしますが……?
中村:私って、海外や、いろいろな場所で仕事をしながら成長していくことに喜びを感じる人なのかなと自己分析していまして。新卒で入社した素材メーカーも、海外拠点がたくさんあったので、「どこでもいきます! 頑張ります!」みたいな感じで選びましたし。会社の中でキャリアアップをしていくことがある意味一貫性だと思っていたのですが、現実には私自身のライフスタイルの変化もあって離職してしまいました。
編集部:特に女性はライフイベントの影響もありますから、変わっていくこと自体は自然なこととも思いますが、新卒で入った会社が終身雇用や年功序列的な風土であれば、中村さんの仕事観に大きな影響を与えたでしょうからね。大企業や男性社会で揉まれた総合職女性の “あるある” 的なお悩みなのかもしれませんね。
中村:まさにそうですね! 歴史のある日本の会社という感じで、会社の中でステージを上げていく働き方でした。だから、途中で戦線離脱してしまった自分は一貫性がないと感じてしまったのかもしれません。
矢野:一方で、こういうクリエイティブな業界だと、働き方もフリーランスが多いですし、新しい出会いからスピーディにものごとが生まれたりするので、そういう意味で固定観念を払拭するきっかけになったのでは?
中村:まさに! さまざまな経験を糧に活躍する方と出会えて、刺激をもらいました。人と人のつながりって言うんですかね…… セレクトショップを開業したときも、当時住んでいた神戸市に事業計画書を提出して助成金をいただいたんですが、商店街活性化の事業にも携わらせてもらい、確かにやりがいを感じましたし。会社の中で上に上がっていくだけがキャリアじゃないんですよね。
隈:ここまで中村さんのお話を聞いていてつくづく今回採用になったことに納得しちゃいました。中村さんは元々マインドが高いからちゃんと “種まき” できる方なんじゃないかしら!?
矢野:共感です! 才能の有無だけじゃなくて、やっぱり “種まき” ですよね。今回だって、私が発信したメールをちゃんとキャッチしてくれたからチャンスをモノにして今に至るわけですし。ワーママのキャリアのお話ってブランクの有無に焦点が行きがちですけど、種まきをしていればブランクそのものってあまり関係ないんじゃないかなって思います。
編集部:中村さん、今こうして新たな実績ができつつあるわけですが、コンプレックスや自信には変化がありましたか?
中村:コンプレックスは無くなりました! 最初のころは、デジハリの仲間にすら自分の経歴を自信をもって伝えられなかったんですが、最近は、過去のお仕事でご一緒した方にもちゃんと近況報告ができましたし。
点と点をつなぎ、私の道を切り拓く!
隈:デジハリで身につけるのはあくまでクリエイティブスキルだと思うんですけど、これからの時代はスキルだけじゃなくて、コミュニケーションスキルだったり、その人が歩んできた道が滲みでるような人間性だったりが求められるんじゃないでしょうか。総合点で勝負!みたいな。
中村:Webに出会って、いままで出会わなかった方たちとお話をしていたら、私だけじゃなく、みなさんもやっぱりいろんな経験をし、漂流しながらこのお仕事に辿り着いているんだなと感じます。ママクラスの仲間や先輩やお仕事関係のみなさんのお話を聞いていて、まさにコネクティングザドッツじゃないですけど、いままでの経歴が点と点で全部つながっているんだなと思います。
矢野:こういうお話って知識として理解するというよりも、やっぱり自分で体験して会得していくものなのかなと思います。ブランクがあっても、窮地に立たされても、腐らずちゃんと種まきできる人はどのステージにいても点と点をつないでいけるんですね!
編集部:女性のキャリアに置き換えるならば、さまざまな浮き沈みも成長するための材料というわけですね!
隈:“種まき” って言葉が頻繁に出ていますけど、種まきって何も特別なことじゃないんですよね。誰にでもできるちょっとしたアクションを、意志を持ってし続けることが大事なのかな。
編集部: LAXICの読者の中には、キャリアのブランクや、制約によって思うように働けずモヤモヤしている方も多いと思います。最後に、3人それぞれの立場から、読者へメッセージをお願いします!
中村:「一歩を踏み出そう」なんておこがましいのですが、ちょっとしたきっかけで最初の一歩は踏み出せると思いますので、自分にできることから始めてみるといいと思います。
矢野: 「こうあるべきだ」 という固定観念は機会損失につながるリスクもあると思うので、視野は広く自分の可能性を模索してほしいですね。私は2ヶ月前にデジハリを退職し、今はフリーランスとしてデジハリのお仕事を含め、幅広く活動をしています。「ママだから諦めよう」じゃなくて、「ママの私だからできることは何か」を考えて動いてみたら会社員時代よりも仕事の幅が広がりました。
隈:キャリアの停滞期がない女性はほとんどいないと思います。みなさん必ずどこかで「100%の自分で生きていないな」というときがあると思うんですよね。「そういうときもあっていいんだ!」って思えないと辛くなっちゃうと思うので、お休みしつつも小さな“種まき”をしてみるとのではないでしょうか。
働く女性にとって、キャリアブランクやスピード感の変化はつきものです。それゆえ、モヤモヤしたり自信を失いそうになることがあるのも当然です。今回取材させていただいた中村さんのように、長く働き続けたいからこそ点と点を線で結ぶキャリアの作り方は多くの女性の参考になったのではないでしょうか。 小さな種まき、大事ですね!
提供・LAXIC
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