ラシク・インタビューvol.140

株式会社マモル 代表取締役社長 隈 有子(くまゆうこ)さん
フリーランスWebデザイナー 中村 早雪さん
デジタルハリウッド xWORKS コーディネーター 矢野 麻衣さん

出産後、自分らしく働くためにフリーランスの道を選んだ女性がいます。中村早雪さんはかつて企業で海外転勤も視野に働いた経験の持ち主。夫の海外転勤帯同や出産でキャリアが中断し経歴に自信が持てなかったという中村さんですが、まさに今、プロのWebデザイナーとして新たな一歩を踏み出そうとしています。彼女の飛躍の舞台になったのが、デジタルハリウッドのママデザイナー限定プロジェクト。いじめを未然に防ぐサービスを提供する株式会社マモルのWebサイトリニューアルをコンペ形式で実施しました。このコラムでは、株式会社マモル代表の隈(くま)さんと、デジタルハリウッドで 「ママクラス」 を立ち上げた矢野さん、そして見事デザイン案が採用された中村さんの対談をお送りします。女性が自分らしく働き続けるための秘訣とは!?

ビギナーママのWeb デザイナーへ実績づくりの機会を提供! デジタルハリウッド「xWORKS」でママ限定「Majiyaru Project」を実施

企業はママの眠れるスキルを求めている!デジハリ×マモルのプロジェクトとは?

左から、株式会社マモル代表取締役社長 隈有子、Webデザイナー 中村早雪、デジタルハリウッド xWORKS 矢野麻衣

編集部:まずは隈さんにお聞きしたいのですが、今回、御社のHPリニューアルにあたり、デジタルハリウッドxWORKS(以下、デジハリ)の協力のもとコンペを行ったとのことですが、「ビギナーママWebデザイナーへ実績づくりの場を提供するプロジェクト」 として企画した背景について教えてください。

株式会社マモル 代表取締役社長 隈 有子さん(以下、敬称略。隈):今回のプロジェクトは、ママ目線の提案を求めていた弊社と、ママWebデザイナーに機会提供をしたいデジハリ、双方の想いにより実現しました。デザインは制作会社にお願いする方法ももちろんありましたが、当社の事業に共感いただける方とご一緒したい気持ちが強かったです。

編集部:なるほど。御社はITでいじめを未然に防ぐサービスを提供していますから、ママ目線で提案いただけるのは嬉しいですよね!

隈:あとは、HPリニューアル後も良きパートナーとしてご一緒できるような方とチームを組めたら最高だなと思っていました。そんな矢先に、このプロジェクを通して2歳児のママでもある中村さんとご縁をいただいたので嬉しかったです。

編集部:まさにご縁ですね! ちなみに、矢野さんは、「Webデザイナー専攻 主婦ママクラス」 の立ち上げや、在校生・卒業生の出口支援に携わってこられたとお聞きしていますが、どのような経緯で隈さんとプロジェクトをご一緒することになったのでしょうか?

矢野 麻衣さん(以下、敬称略。矢野):隈さんとの出会いは卒業生からの紹介です。フリーランスのWebデザイナーを目指すママは最近とても増えていて、当校でも5年前に 「ママクラス」 を立ち上げました。ママの皆さんはフルタイムで働きたいというよりも、子育てと両立しながらリモートなどで柔軟に働きたいという方が多いので、私たちとしても 「ママ向けの出口支援をもっと強化したい」 と思っていたんです。そんな矢先に隈さんを紹介いただき、すぐに 「一緒にやりましょう!」 となりました。

編集部:そして実施したコンペで、見事、中村さんの作品が選ばれたと!

中村 早雪さん(以下、敬称略。中村):私は今まさにママコースを受講しています。もともと異業種で働いていましたが、働き方の価値観が少しずつ変化してきた中でWebデザインに出会いました。実績づくりはこれからなのでチャンスは逃すまい! とアンテナを張っていたところ、メールで今回のプロジェクトを知り、応募させていただきました。

隈:中村さんのプレゼン本当によかったですよ! 当日はお子さん抱っこしながらでしたよね。「世の中にはこんなに優秀な方がいらっしゃるんだな」って思いました。ママの潜在スキルはすごいですね。

矢野:本当に! 社会に眠れる女性のパワーをもっともっと知ってもらいたいですよね。

隈:このプロジェクトも、そういう意味でこれから頑張っていく才能ある方が活躍するきっかけになったら嬉しいなという思いで企画しました。女性のキャリアってライフイベントに影響されやすいですけど、だからこそ「前向きに頑張っていれば道は開けるよ!」ということを中村さんを通して伝えられたらいいなと。

ライバルだけど仲間!ママ目線を生かし、切磋琢磨で共に成長

編集部:コンペにはデジハリ受講生・卒業生8名8作品がエントリーしましたが、中村さんは、何が勝因だったと思いますか?

中村:一言でいうと 「リサーチ量」 です。 コンペの事前オリエンテーションでのヒアリングはもちろん、隈さんにFacebookの友達申請をさせていただいて活動内容やプライベートの部分も含めじっくり見させていただきました(笑)

隈:え?! そんなところまで見られていたとは!(笑)

中村:講演会に登壇されていたり、隈さんはとにかく活動的でいろいろな所に種を蒔いている方だな、と思いました。なので、Webサイト制作だけで終わらずに、今後の活動を一緒に育てていけるようなご提案をするのがいいのかな? と思いました。

こちらが実際に中村さんが提案し採用された作品

編集部:それにしても、他の7名についてもデジハリで腕を磨いたママWebデザイナーなので、なかなかハイレベルな戦いになったのでは?

隈:本当に皆さん素晴らしい提案をしていただいたので最後まで迷いました。でも、今回のサイトリニューアルに限らず先のことも考えて提案してくれたのが中村さんでした。リサーチをたくさんしてくれたおかげでプレゼンにも説得力がありましたし…… これは仕事においてとても大事な点ですよね。

編集部: ちなみに、コンペの応募からプレゼンが行われるまでの間、矢野さんは事務局として応募者にどのような関わり方をされていたのですか?

矢野:事務局としてプロジェクトの企画から中村さんに決定するまで近くで伴走してきました。コンペなので公平性を保つ意味で個別の相談には応じませんでしたが、Facebookで非公開グループを作って支援しました。コンペに参加する方と隈さん、事務局がコミュニケーションを取れる場として開設したのですが、これがかなりよかったんですよ!

編集部:え? コンペでFacebookグループですか?? 普通は “競合他社” になるので交流なんてしないですよね?

矢野:確かに、言われてみればそうかもしれませんね(笑) でも、今回はあくまでスクールが主催しているので、コンペと言っても育成プロジェクト的な意味合いが大きくて。プロで独立している人同士のコンペだったら卒業生とはいえこんなに和気藹々やらないですが、今回は全員ママですし、実績をつくりたい! というのが共通の目標だったので、競合というよりも、仲間として切磋琢磨していました。

中村:オリエンテーションからプレゼンまでの間は約1ヶ月あったのですが、途中経過を発表する機会がFacebookグループ上であったんです。事務局に進捗を報告する意図もありましたが、何より他の仲間たちがどんな視点で作っているかを見られるのは張り合いにもなりました。

編集部:Facebookページ上で途中経過を発表ですか! おもしろい! どうやって発表したのですか?

矢野:制作途中のデザインデータをグループページにアップロードして、隈さんや他の応募者からフィードバックをもらいました。みなさんとても活発に意見交換されていて驚きました。私はママクラスを立ち上げるときに、まさにこうして切磋琢磨しながら共に成長できるママ受講生のコミュニティを作りたいなと思っていたのですが、実現したな! と感じて嬉しかったですね。