年金額が多くなれば、物価や生活費の上昇に対して余裕を持ちやすくなります。
 

3.税金や社会保険料の負担軽減

繰下げ期間中は年金を受け取りません。つまり、所得税や住民税の負担が一時的に減少します。また、医療保険料などの計算対象額が下がる可能性があります。
 

注意点とデメリット

次に、繰下げにあたっての注意点、デメリットについて確認しましょう。
 

1.お得になるのか否かは寿命しだい

先にも示したとおり、繰り下げておいて、受給開始年齢に到達して短期間で亡くなる場合には、受給総額として考えた場合はお得ではない場合があります。ただ、こればかりは何ともわかりません。
 

2.繰下げ期間中の生活費の手当

繰下げ期間中は年金を受け取らないため、生活費を預貯金や他の収入で賄う必要があります。将来を夢見るより、まず足元の現実を固める必要があります。
 

3.家族への影響

受給者が亡くなった場合、遺族年金には繰下げによる増額分は反映されませんので慎重に検討する必要があります。
 

繰下げ受給をお勧めするケース

繰下げ受給をお勧めできるケースとして以下の場合でしょう。
 
1.健康状態が良好な場合

2.他に生活費の備えがある場合
繰下げ期間中も生活費に困らないだけの預貯金や退職金、他の収入源がある場合は繰下げを検討するとよいでしょう。

3.税金や保険料の負担を軽減したい場合
繰り下げることで一時的に課税所得を減らすことが可能です。
 

繰下げに対する不安や迷いへの対応

「寿命がわからないので損をするかも」と感じるのは自然なことです。この不安を軽減するために、検討できる選択肢は以下のとおりです。
 

1.一部繰下げを検討する

老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金は別々に繰下げができます。どちらかだけを繰り下げ、他方は通常の65歳から受け取る方法もあります。このように部分的に調整することでリスクを分散することを検討してみてはいかがでしょうか。
 
日本年金機構の「ねんきんネット」にログインすると、年金受給額を確認するだけでなく、さまざまなシミュレーションを行えますので時間を見つけて確認してみましょう。
 

2.少額からでも老後資金を確保する