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繰下げ受給の仕組み
年金の受給開始年齢を迎える人から、このような不安を持っている問い合わせを多く寄せられます。まず、繰下げ受給の仕組みについて確認しましょう。
繰下げ受給とは、通常の年金受給開始年齢(65歳)を遅らせることです。1ヶ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増加します。最大で75歳まで繰下げ可能で、この場合、年金額は、0.7 %×12×10=84%増加します。
例えば、自営業者の第1号被保険者の方で満額納付済みの場合、老齢基礎年金は年額約78万(月額換算6万5000円)ですが、これを75歳まで繰り下げた場合は、年額約143万5200円(月額換算11万9600円)になると試算されます。そして増額された年金額が一生涯変わらず受け取れます。
繰り下げる年齢は、自分で決められます。本来の65歳を66歳からにしても70歳にしても、75歳からと繰り下げる期間を選べます。なお、繰下げ受給を希望する場合は、66歳以後で繰下げ受給を希望する時期に手続きをします。その時点で増額率が決定します。
繰下げ受給のメリット
繰下げ受給のメリットは以下のとおりです。
1.年金額の増加
繰り下げた期間に応じて年金額が増えるため、長生きすればするほど「受け取れる総額」が増加します。
ケース1:75歳没の場合
65歳で受け取る年金を100として、11 年間受給して75 歳で亡くなるとすると受給総額は、100×11=1100
1年間繰下げ66歳から受け取ると受給額は108.4。同じく75歳で亡くなると10年間受給なので、受給総額は108.4×10=1084です。75歳で亡くなる場合は、繰下げせずに受給したほうが総額は多いという結果です。
ケース2:85歳没の場合
同じように計算すると、繰下げせずに21年間受給した場合の総額は2100
66歳から受給する場合は、108.4 ×20=2168
85歳で亡くなる場合は、1年繰り下げたほうは、総額が多くなります。
この要領で計算していくと、1年繰下げの場合は76歳、2年繰下げの場合は77歳、3年繰下げでは78歳を超えると、繰り下げたほうが総額は多くなるという試算結果が得られます。