「日本の首都東京と国のさらなる発展に貢献する世界の玄関口」というコンセプトで、2020年3月14日にオープンした高輪ゲートウェイ駅。2025年の街開きに向けて周辺地区の開発がすすめられており、先進的な新しい街に生まれかわろうとしています。今回は、そんな高輪の発展の土台となり、高輪から三田を古くから守り続ける4つの神社をご紹介します。
【1】高輪神社(たかなわじんじゃ)
高輪ゲートウェイ駅前の一等地には、ホテルやカンファレンス、低層階の商業施設とともにオフィス棟の建築が計画されています。その中で最も賑わいを見せる予定の駅ビルから500mの場所に高輪神社があります。
「東京福巡り 八社開運さんぽ」の1社に数えられており、室町時代からつづく古い由緒ある神社で、高輪地区の総鎮守として親しまれています。江戸時代には東海道を挟んで「江戸前」の湾に面していたとされており、海に映る朝日の道が、鳥居へと続く階段の参道を照らしていたことでしょう。
当社には庚申堂(こうしんどう)も合祀されています。祀られている猿田彦神は「岐神(ちまたのかみ)」ともよばれ、人生の分岐点に立って人を導くと言われています。「導きの神」として鼻が高い天狗顔で表現される猿田彦神は、国際人をにおわせる面持ち。江戸に入る人々を検疫した高輪大木戸(ゲートウェイ)のある土地にふさわしい神といえます。
境内には太子堂もあり、聖徳太子が16歳の折に自作したと伝わる像が祀られています。十人が同時に話してもすべてを正しく聴き取ったという聖徳太子の逸話は有名ですね。そのご神徳を慕い「耳聴神社」とも呼ばれます。
【2】御田八幡神社(みたはちまんじんじゃ)
高輪神社から北へ約1kmのところに、御田八幡神社があります。創建は古く、709年。「江戸八所八幡宮」の一社に数えられている、三田の鎮守様です。京都の鬼を切り落とした逸話を持つ渡辺綱(わたなべのつな)一党の氏神として「綱八幡(つなはちまん)さま」として親しまれいます。
江戸城の裏鬼門にあたる当社は、江戸開城に伴って造営・遷座し、江戸全体の発展を見守ってきました。
すぐ裏には亀塚公園があり、小山になっています。御田八幡神社の境内から続く階段を上ると、左手側に春先から蕗(ふき)が群生します。かつては、階段から東方面を振り返れば、江戸湾を眺望できたでしょう。都心にありながら、ちょっとゆっくり小休止を愉しめる場所になっています。