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派遣社員の雇用形態を確認
ひとくちに「派遣社員」といっても、雇用形態の違いがあり、具体的には「有期雇用派遣」と「無期雇用派遣」という契約方法があります。有期雇用派遣は一般的な契約方法で、派遣先企業が決まった場合に、派遣会社と派遣期間などを定めて契約することになります。
一方の無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結びます。派遣先企業の就業期間が終了しても、派遣会社との契約は継続して、次の派遣先企業が決まれば派遣される契約となります。
有期雇用派遣の場合、要件によっては社会保険に加入しないケースもあるでしょう。しかし、契約が2ヶ月以上となる場合には、社会保険に加入することになります。
なお、ここでいう「社会保険」には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険があり、それぞれに加入条件が異なります。
本記事では、健康保険から支給される「傷病手当金」と雇用保険から支給される「失業手当」について説明します(この手当は併給できず、別々の期間で受け取ることになります)。
傷病手当金を受け取るための条件
派遣社員であっても、一定の条件を満たしていれば、健康保険から「傷病手当金」を受け取ることが可能です。傷病手当金は、病気やけがで働けなくなった際に、収入の減少を補うための制度です。ただし、この制度を利用するには以下の条件を満たす必要があります。
傷病手当金の金額は、「支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」となります。
12ヶ月に満たない場合は、(1)支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均か(2)標準報酬月額の平均額(30万円)のうち、どちらか低い額に3分の2を掛けたものとなります。
健康保険に加入していること
派遣社員が健康保険に加入している場合、傷病手当金の対象となります。派遣社員が雇用期間中に病気やけがを発症した場合、傷病手当金の受給資格は発症時の加入状態で判断されることになります。
つまり、健康保険に加入しているときにかかった病気やけがであれば、一定の条件を満たすことで傷病手当の対象となる可能性があります。
就労が困難であること
傷病手当金を受け取れるのは「病気やけがにより、仕事を行うことができない」と医師が判断した場合に限られます。診断書は必ずしも必要ではありませんが、医師からの証明が必要になります。
また、病気やけがによって4日以上連続して働けない日があることも必要です。最初の連続する3日間は「待機期間」として扱われ、4日目以降に支給が開始されます。
給与が支払われていないこと
働けない期間中に給与が支給されている場合は、傷病手当金の支給額が調整されるか、支給対象外になることもあります。この点も注意が必要です。
以上の条件を満たすことで、傷病手当金を受け取ることが可能です。しかし、派遣契約の終了や健康保険資格喪失など、派遣社員特有の事情が支給要件に影響することがあるため、状況をしっかり確認することが重要です。