しかし、それまでは20分もしたら家に戻ってきた子供たちが30分経っても帰って来なかったといいます。
「主人がふと思い出したように『子供たちはまだ外か?』と言ったんです。確かに、ちょっと遅いし、心配になって様子を見に外に出たんです」
ところが、自宅前に子供たちの姿はまったく見えませんでした。このとき外は吹雪になっており、アルコールが入って上機嫌だった恵子さんの酔いもさすがに醒めてしまいます。
「ひょっとしたら庭で遊んでいるかもと思い、そっちに回り込んでみたんです。そしたら子供たちが2人とも雪だまりに腰から下が埋まっており、自分で出ることもできずに身動きが取れないでいました。さすがにあれは焦りました」
驚きのあまり、息子2人の名前を叫びながら子供たちのもとに駆け寄った恵子さん。積もっていたのは新雪のため、大人である恵子さんも足を取られそうになるほどだったそうです。

「最初に下の子を抱きかかえるように雪だまりから引き抜き、続いて上の子も同じように救出しました。私は小柄で力もないため、普段は子供たちを持ち上げるのも一苦労だったんですけど、このときは必死でまったく重たいとかは感じませんでした。きっと火事場のクソ力だったんでしょうね」
すぐに家の中に連れ戻しましたが、長い間うまっていたらしく子供たちのくちびるは真っ青。冷えた身体を温めようとストーブの前に座らせてココアを飲ませ、すぐにお風呂にも入れたため、すっかり回復。心配していた風邪も引かなかったといいます。
でも、気になるは子供たちがなぜ雪だまりにうまっていたのかという点。これについて上の子は「雪の上に飛んだらそのままハマって動けなくなったの」と話していたとか。
「実は、除雪したものを庭の隅っこに寄せて小さな山になっていて、子供たちはそこからジャンプしていたみたいです。そもそも私たち大人が目を離したのが悪いのですが、実家の庭で凍死とかシャレにならない事態にならずに済んで本当によかったです」