家庭でも、「早くしなさい! ちゃんと食べないと遊ばせないわよ!」などと口調を強めたことがある、厳しく叱責してしまったことがあるという方はいらっしゃるのではないでしょうか? つまり、ついついやってしまいがちではありますが、やみくもに厳しく叱っても良い方向には改善しないのです。

◆息子の“ある一言”で、はじめに考えるべき根本原因に気がついた

子どもの希望を優先して出した朝ごはん
子どもの希望を優先して出した朝ごはん。確かにすんなり食べてくれましたが、それが正解なのでしょうか?
 だからといって、親が黙ってグッとこらえて、子どもの知らないところで工夫をするのが正解なのでしょうか? 私は正直なところ、そうではないと考えています。

 例えば朝ごはんのタイミングに、子どもが食べたくなるような献立を出すことは一定の効果があります。実際に、「クレープやアップルパイが出てきたらすぐに食べられるよ!」と我が子が言うのでやってみたところ、驚くほどスムーズに完食してくれました。

 でもどうでしょうか、親にも親の都合があります。家計のやりくりはもちろんのこと、仕事や家事で朝ごはんをゆっくり準備することは無理だと感じるのは自然。そして子どもの機嫌を取ること優先で好きなものだけを出していたら、必ずやひずみも出てくるはずです。

 そんなことを考えていたときに、改めて小学生の息子に質問してみました。「なんで早く食べたくないの?」と。そして返ってきた回答は、私にとって想定外の内容でした。

「眠いから!」

 このときに、日本で最近深刻化している“子どもの睡眠問題”を思い出したのです。

◆睡眠不足は食欲不振にもつながる

眠そうな子供
※イメージです
 成長期の子どもにとって睡眠が重要であることはイメージできるでしょう。特に乳幼児期は脳の成長が顕著な時期。神経回路が作られるだけでなく、記憶などを司る海馬の発達にも大きく影響が出ることがわかっています(※1)。

 他にも、睡眠不足によってもたらされる悪影響として、認知機能(記憶・思考・集中)の低下や問題行動の増加、食欲不振やメンタルヘルスの悪化までもが具体的に指摘されています。つまり、食べる気にならない、食事に集中できない原因の一つとして、子どもの睡眠不足が考えられるのです。