78歳の父が、実家を「3000万円」で売って賃貸に住み替えました。「確定申告しないと」と心配していましたが、税金はどれくらいかかりますか?
「実家じまい」という言葉があるように、親が高齢になると、相続予定のある子どもを含めて、ゆくゆくは実家をどうするのかを考えておかなければなりません。もし、子どもが実家には住まないなど、将来の活用見込みがなければ「早めに売って処分しよう」と考える親もいるでしょう。   ただ、不動産の売却は大きな金額の取引となるため、税金がどうなるのか、親だけでなく将来相続を受ける子どもも気になるところです。   本記事では、親が実家を3000万円で売却した場合、税金がどれくらいかかるのか解説します。売却した翌年の確定申告の必要性なども解説しますので参考にしてください。

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不動産を売却すると税金はどれくらいかかるのか

不動産を売却すると、売却した翌年に所得税と住民税がかかります。所有期間5年を境に税率が変わりますが、実家のように長年所有している不動産であれば、所得税が復興特別所得税まで含めて15.315%、住民税が5%で合計20.315%です。
 
ただし、売却した価格そのものが、課税対象になるわけではありません。課税されるのは「譲渡所得」と呼ばれる、不動産を売却して得られた利益部分です。
 
譲渡所得は、売却した不動産を当初購入したときの費用である「取得費」や、今回の売却に伴い、不動産会社に支払った仲介手数料などの「譲渡費用」を差し引いて計算します。
 
さらに、譲渡所得には数多くの「特別控除」があり、一定の要件を満たせば、特別控除ごとに定められた額を控除できます。そのため、課税対象額は「売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」となり、これに税率を掛け合わせて税額を計算します。
 

親が3000万円で実家を売却した場合の税金は?

それでは、今回のように、親が実家を3000万円で売却した場合の税金はどうなるでしょう。結論から言えば、今回の売却では所得税も住民税も課税されません。
 
自分が住んでいた家の売却には、「マイホームを売ったときの特例」による特別控除があり、その控除額の上限は3000万円です。親にしてみれば、実家は居住用のマイホームにほかなりませんので、夫婦や親子への売却でない限り、譲渡所得があったとしても、3000万円までは差し引けることになります。
 
つまり、売却代金が3000万円であれば、取得費や譲渡費用がいくらかにかかわらず、課税される譲渡所得はなくなるため、今回の売却に所得税や住民税はかかりません。
 

売却した際、確定申告は必要なのか