病気やケガに備えて多くの方が加入している医療保険ですが、もしものときに受け取れないケースがいくつかあることをご存知でしょうか。保険を申し込んだときのミスが原因でトラブルになってしまったSさんの事例を見てみましょう。

まさか!保険金が受け取れない!?

同世代の友人で大きな病気が発覚する人が続き、不安に思ったSさんは医療保険に加入することにしました。加入から約1年後、毎年受けていたガン検診で初期の乳がんが見つかります。

さっそく保険会社に給付金を請求するも、返答はまさかの「給付金はおりない」。それどころか「この保険契約は解除になる可能性がある」とまで言われました。

驚いたSさんがその理由を尋ねると「告知義務違反」とのこと。そんな言葉を聞いたこともなく自覚もないのに、わけがわからないまま「違反」と言われ、責められたように感じたSさん。大きなショックを受け、途方に暮れてしまいました。

なぜ保険金が下りない?告知義務違反とは?

Sさんはなぜこのようなことになってしまったのでしょうか。そのカギはSさんが申込をした時点にありました。

過去の通院歴を告知していなかった

Sさんは、申込書に記入するべきだった通院歴を記入していなかったのです。保険加入時に、保険会社に対して過去の病歴、障害や妊娠の有無といった健康状態や職業などについて申告することを「告知(こくち)」といいます。

Sさんは以前に高血圧で病院に通っていたことがありましたが、申込書を記入するときに告知に関する欄をよく読んでおらず、見落としてしまっていました。

病歴を正しく告知するのは義務

正しい告知をするのは保険に加入する人の義務です。もし故意に病歴を隠して保険に加入して、すぐにお金を受け取る人がいれば、長年ずっと保険料を納めてきた健康な人とのあいだで不公平が生じます。そうなると保険の存続にも関わってくるので、告知はとても重要視されているのです。

保険金や給付金を請求したとき、保険会社は保険証を使った履歴などを確認して調査することができます。告知の内容と違う通院歴などがあれば、そこでわかります。

保険会社の判断にもよりますが、正しい申告ができていなかった場合は、お金が受け取れなかったり契約が解除になったりする可能性があります。Sさんの場合は保険会社と話し合った結果、幸いにも今回の給付金については受け取れることになりました。