労働者の生産性および満足度向上を目指すための多様な施策が盛り込まれている「働き方改革」。その中でも注目を浴びているテーマが「同一労働同一賃金」の実現です。正規雇用者と非正規雇用者の格差を是正するために、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることの禁止があります。この賞与の取り扱いについてはたびたび議論の的となっているため、私たちも耳にすることが少なくありません。

賞与について

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賞与は労働者にとって大変うれしいものです。とはいえ、賞与とはそもそも何か、賞与の金額がどのように算定されるのか、あるいは確定申告においてどのように取り扱うべきかという点を明確に理解しているという人はそれほど多くありません。

「賞与」と「ボーナス」の違い

「賞与」は、毎月支払われる定期給与とは別に企業が労働者へ支給するもの、あるいは臨時給与という意味合いがあります。

一方「ボーナス」は、アメリカでは「管理職や役職者が業績を上げたときに支払う報償金」といった意味を表しています。したがって年に何回、何カ月分を支払うといった規定は設けられていません。ただ日本では同義として用いられることがほとんどです。

賞与の種類

賞与には「通常賞与」と「決算賞与」の2種類があります。通常賞与とは、夏季および年末に支給される賞与のことです。夏季賞与は公務員であれば6月、企業では6月~7月に支給されるのが一般的です。

一方、冬季賞与は12月に支給されます。ただし、企業の中には賞与の支給回数が年1回もしくは年3回というケースもあります。

決算賞与とは、決算期の前後に企業から従業員に対して支払われる賞与のことです。賞与の額は決算の内容に応じて変動します。業績が好調であれば賞与額は大きくなる一方、業績が下降気味であれば賞与が減額されたり、支給されなかったりすることも珍しくありません。

なお、本記事では「賞与」と記載した場合、通常賞与のことを指すこととします。

賞与の有無

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賞与は必ずもらえるものではなく、会社に支払いが法律上義務づけられているものではありません。会社の就業規則や雇用契約書に「使用者は労働者に賞与を必ず支払う」等の記載があれば、支払う義務が発生しますが、その記載がない場合には支払い義務はありません。

就業規則や雇用契約書に「賞与の支給は会社の業績による」等の記載があった場合は、業績が悪ければ支払う必要はないことになります。

経営状態が非常に厳しくなったため、年2回の支給が年1回になったり、支給が当面見送りになったりすることは珍しくありません。したがって、会社によって支給の有無や回数に違いがあることを知っておいてください。

「自分が勤める会社の賞与の規定はどうなっているのだろう?」と気になる人は、会社の就業規則や雇用契約書を見直してみましょう。

金額はどのように決められるのか

賞与の支給額を決めるうえでカギとなるのが「査定」です。査定の結果が良ければ賞与額はアップし、結果が悪ければ賞与額は減少します。

査定において評価されるのはおもに「出勤と欠勤の日数」「勤務態度」および「成績」の3項目です。特に、企業の業績向上へどれほど貢献したかを示す成績は査定を決める非常に重要な要素となります。

多くの企業では「勤続年数」も査定においてチェックの対象となっています。ただし、査定において勤続年数の比重が大きいと、転職してきた人は査定結果が厳しくなりがちです。