大塚の果物屋さん『フルーツすぎ』の店頭には、平日にもかかわらず開店前から行列ができます。お目当ては見た目も華やかでボリューム満点の「フルーツパフェ」。

普段食べ慣れている果物でも「こんなに甘くておいしいのは初めて!」という驚きと発見を与えてくれます。旬の果物をたっぷり使ったフルーツパフェの魅力に取り憑かれる人が続出なんですよ。

 

父の代から馴染みのある大塚で「本当においしいフルーツ」を提案

壁一面に陳列されている厳選された果物たち

大塚駅から徒歩5分の場所にある『フルーツすぎ』は、四季折々の旬の果物を取り扱う果物屋さん。こぢんまりとした店内には、色とりどりの果物が品良く並び、商品棚を美しく彩ります。

このお店を営む杉勝也さんは、大田市場の青果コーナーで働いていた経験の持ち主。そこで培った目利き力と、品種の知識を生かし、「甘くておいしい果物」を厳選して仕入れています。

「昔、父親が大塚でバナナを専門に扱う果物屋を営んでいたこともあり、仕入れでお世話になっていた仲買いさんの下で4年間働いていました。毎日たくさんの果物を見ているうちに、生産者さんの気合いや果物への想いの強さによっても、品質と味に違いが出ることがわかるようになってきたんです」。

父親が亡くなり、当時経営していたお店も閉店。今後のことを考えたときに「馴染みのある大塚の町で、自分の果物屋をやってみたい」と考えるようになったと話す杉さん。2016年に現在の場所に自身の店を構え、その年の気候による出来不出来も考慮しながら、品質の高い商品を選りすぐって取り揃えています。

珍しい黒イチヂク。気になる商品は試食させてもらえることも!

店内の棚に並ぶ果物の商品札を見てみれば、黒イチジクの「ビオレソリエス」、ブドウの「ティアーズレッド」、洋梨の「スーパーラフ」など、耳馴染みのない品種があちこちに。その基準について伺うと「全国各地の果物を食べ比べ、自信を持っておすすめしたいと思えるものだけを並べています」とのこと。

「特に、『糖度の高さ』を重視しています。最近は、SNSで発信する生産者さんも増えてきているので、うちのような小売店も生産者さんの情報を得やすくなってきました。気になる品種があればサンプルを送ってもらい、商品として取り扱うか検討しています」。

市場からの仕入れだけでなく、農家さんからの直契約で取り扱う果物も増えつつあり、現在、お店に並ぶ3種類の苺は、3つの農園から仕入れたものだそう。

「農家さんの作り手としての技術が上がっていることを感じると同時に、自分の果物屋としてのレベルも上がってきていると実感する日々です。知識と経験が増すごとに、おいしさのポイントを、きちんとお客さんに伝えられるようになってきました」と話す杉さん。その言葉からは、果物への愛情とともに「その魅力を知ってほしい」というこだわりを感じます。

 

フルーツパフェは果物の味を知ってもらうための秘密兵器

グラスの中で柿が花開いています

オープン当初から「フルーツジュース」を提供していたそうですが、「フルーツのおいしさを、よりダイレクトに伝えたい」と思い、2018年にフルーツパフェの提供を始めたところ、SNSで注目が集まり、あっという間にお店の代名詞に。その影響もあり店先には「フルーツパフェ」の整理券を求めて12時の開店時間の数時間前から人が並びます。

柔らかい柿が丁寧にスライスされていきます

「より新鮮な味を楽しんでもらいたい」という想いから、注文をもらってから果物をカット。杉さん1人で作っているため、1日に40杯が限界だと言います。イートインスペースの利用は最大4人まで。パフェを始めた当初、「5時間待ち」の日もあり、「待たせすぎるのも申し訳ない」と、整理券のシステムを導入したそうです。

「予想以上の反響に驚きました。うちで提供しているフルーツパフェは、 “フルーツ盛り”に近いです。果物を固定させるために生クリームを少し使っているくらいなので、『パフェなのにアイスクリームが入ってないね』と言われたこともありました。でも『パフェを食べてほしい』というよりも、『果物を食べてほしい』という思いから始まっているので、旬の果物をたっぷり詰め込んで、自信を持って提供しています」。

 

果物の魅力を再発見できるフルーツパフェ

カットの仕方や盛り付けはすべて独学なのだとか

11月から登場した柿のパフェに使用されているのは、福岡県の「秋王」。富有柿と太秋柿を掛け合わせて生まれた高級柿です。パフェグラスには秋王を使ったジュレとプリンの上に、カットされた秋王が丸々1個、バラの花のように美しく盛り付けられます。

ひと口頬張れば、「シャクッ、プリッ」とした歯ごたえと、爽やかな甘味が口いっぱいに広がります。杉さんが太鼓判を押した通りの濃厚な甘さ!これまで食べたどの柿よりも甘い印象を抱きました。

添えられる果物は日によって異なる、まさに一期一会なパフェ

同じく11月からメニューに加わった洋梨のパフェは、山形県「スーパーラフ」、青森県「ゼネラル・レクラール」、新潟県「ル・レクチェ」の3品種を食べ比べできる魅力的な一品。「品種が変われば、これほどに食感や歯ごたえ、甘味に違いがある」といううれしい発見を与えてくれるパフェでした。

「1つのパフェの提供期間は決まっていません。あえて言うなら『果物が旬の時期を迎えて美味しく食べてもらえるまで』です。突然終了になってしまうメニューもあり、申し訳ない気持ちもありますが、『果物のおいしさ』重視で期間を決めています」。

「一期一会」の気持ちで食べにきてほしいと話す杉さんは、「果物のプロ」としてのこだわりを貫きます。仕入れから販売、パフェメニューの考案、作成、提供まで、ほぼ1人でこなす杉さん。目の回る忙しさですが、お客さんの「おいしい!」という笑顔が何よりのやりがいだと言います。

1月からは「イチゴ」と「マンゴー」のパフェも登場予定。「それ以外にも、出したいものがあれば“10杯限定”などで、新作が登場するかもしれません」と笑顔を見せてくれました。

『フルーツすぎ』のフルーツパフェは、杉さんが「今、これが一番おいしいよ!」と太鼓判を押す果物を味わえるだけでなく、日本各地から厳選された品種との出合いも提供してくれます。

 

「並んででも食べたい」「メニューが変わるたびに食べたい」というファンがつく理由がわかった気がしました。季節ごとの果物との出会いを楽しみに出かけてみてはいかがでしょうか。

 

■店舗情報
フルーツすぎ
住所:東京都豊島区北大塚2-11-4
TEL:03-3940-1805
営業時間:月~金12:00~20:30(L.O.20:00)
            土祝11:00~20:00(L.O.19:30)
定休日:日曜

 

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