キーワードは「国際化」

建設投資の他に経済効果として期待できるのが、外国人観光客の増加である。

政府は2020年に4000万人の誘致を目指している。実現のためには、外国人が訪問しやすい環境を整える必要がある。

空港を見ても、国際線の発着便の少なさに加えて旅客機の離着陸料の高さも改善されていない。また、道路の案内標識はローマ字のためわかりづらく、交通機関のアナウンスも英語だけのところもまだある。また、ショッピングを楽しみたくても言葉が通じない店舗が依然として多い。

こうした課題の解決は、実は外国企業の誘致にもつながることが期待される。日本に進出希望の企業にアンケート調査を行うと、ビジネス環境に求める改善点と観光客の不満点は共通している。「世界で最もビジネスをしやすい国をつくる」ことはアベノミクスの目標の一つであるため、オリンピックを契機に変えていくべきだろう。

観光産業がこれから成長する素地が十分にあるわけだが、その魅力ある観光地づくりの一例として考えられるのがIRである。

IRは、外国人観光客のリピーターを増やすのに有効な手段である。実際、シンガポールやマカオは、カジノで外国人観光客を急増させた。大阪や北海道、九州、和歌山等、すでに候補地が絞られてきており、2023~2024年ごろに開業との見通しもある。

また、訪日増加のターゲットとして力を入れたい国はインドである。購買力を持つ中間層が日本の総人口より多いものの、観光客として訪れる人はまだ少ない。たとえば、インド映画のロケ地として売り込むのも一つの方法かもしれない。スイスはロケ地の誘致で知名度を大きく上げ、インド人観光客が多数訪れるようになった。観光客を増やすには、まず日本に興味を持ってもらうことから始めるべきだろう。

オリンピック開催を控え、今後成長が見込めそうな分野をキーワードにすると「国際化」である。また、食や農産物等にもビジネスチャンスがあり、各地域は情報発信の仕組みづくりに重点を置くべきである。オリンピック開催後も反動減の少ない分野を狙い、今から市場開拓を進めるべきだろう。
 

文・永濱利廣(第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト)/ZUU online

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