工場見学のブームとともに企業博物館が近年注目を集めています。お気に入りのあのガジェット、何度もリピして食べているこの商品、いつも使っている例のサービス、それらのうちに込められた歴史と哲学など魅力的なものが目白押しです。アートでも歴史的遺物でもない“ふつうの製品”の裏側をのぞいてみたいという気持ちがブームにつながっているのかもしれませんね!
今回は、数ある企業博物館のなかでも、特に人気のスポットを3つピックアップしました。企業にとってはPRも兼ねているだけに、「楽しさ」もきっちり追求されています。楽しくってためになる、そんな企業博物館の世界をのぞいてみましょう!
1 .カップヌードルミュージアム横浜
1958年に安藤百福によって「チキンラーメン」が発明されて以来、2018年時点において世界で年間約1,000億食が消費されるまでに広まったインスタントラーメン! もはや“国民食”をはるかに超えた“人類食”となった超々ヒット商品の歴史と製法をさまざまな展示・アトラクションを通じて学べるのが「カップヌードルミュージアム横浜」です。
アート的な展示「インスタントラーメン ヒストリーキューブ」では、「チキンラーメン」の歴史を学ぶことができます。たった一つの商品から、現在世界各国で食べられているさまざまなインスタントラーメンが生まれるにいたった歴史を3,000点以上のパッケージの展示によって視覚的に体験できます。
まるで生命の系統樹のようにチキンラーメンという共通の祖先から多種多様なインスタントラーメンが派生していく様子は、ある種の美しさすら感じさせてくれるでしょう!
「百福シアター」や「百福の研究小屋」といった安藤百福関連の展示からは、朝の連ドラのモデルにもなったスーパーイノベーター・安藤百福の人生と思想を学ぶことができます。百福のクリエイティビティの源泉をアート的な手法で示した「クリエイティブシンキングボックス」を見れば、仕事にも活かせる気付きが得られるかも!
体験型プログラム「チキンラーメンファクトリー」では、なんとあのチキンラーメンの手作りを体験することができちゃうんです! 小麦粉から製麺、味付け、「瞬間油熱乾燥法」での乾燥までの工程を踏みながら発明の瞬間を追体験できます。さらに一番の目玉といえるのが4種類のスープと12種類の具材を組み合わせてオリジナルカップヌードルを作ることができる「マイカップヌードルファクトリー」です。
可能な組み合わせは、なんと5,460通り! 人気のコーナーなので事前予約しておきましょう。インスタントラーメンは宇宙食としても利用され、地球をも飛び出しつつある商品。その第一歩を踏み出した安藤百福のクリエイティブマインドと、それを引き継いで発展してきた日清の歩みを体感できる「カップヌードルミュージアム」。クリエイティブディレクター・佐藤可士和が総合プロデュースした優れたデザインにも注目です!
【基本情報】
スポット名/カップヌードルミュージアム 横浜
住所/神奈川県横浜市中区新港2-3-4
アクセス/みなとみらい線「みなとみらい駅」「馬車道駅」より徒歩約8分、JR・市営地下鉄「桜木町駅」より徒歩約12分
開館時間/10:00~18:00(入館は17:00まで)
入館料/大人500円、高校生以下無料
休館日/火曜日(祝日の場合は翌日)
2. ヱビスビール記念館
ザ・大人の街の代表ともいえるのが恵比寿です。実はこの地名、あの“ちょっとぜいたくなビール”に由来するってご存じでしたか? 1890年に発売された「ゑびすビール」の運搬のため、その翌年造られた日本鉄道品川線(現在の山手線)の「恵比寿停留所」から、周辺地域が「恵比寿」と呼ばれるようになったんです。
100年以上も愛され、街の名前にすらなってしまった銘品「ヱビスビール」ですが、こちらの「ヱビスビール記念館」では、その歴史をじっくりと学ぶことができます。館内の一部は無料で見学できますがヱビスビールのことをもっと知りたいのなら有料の「ヱビスツアー」にぜひご参加を! 料金は大人500円と格安ですよ!
前半20分は、ビールの鋳造法とヱビスビールの歴史をブランドコミュニケーターが丁寧に解説してくれます。原材料となる麦芽やホップの実物や100年以上前の発売当時の様子を再現したミニチュアなど見どころがたっぷりです。
発売当初、ヱビスビールは瓶1本の値段でかけそばが10杯食べられるという高級品だったそうです。ビールの普及率が高まるに従って値段も落ち着いてきたわけですが、今でもなお“ぜいたく品”としてのイメージを維持しているのは、並々ならぬブランディングの努力の賜物でしょう。
後半20分は、お待ちかねの試飲タイムです。ここでは、なんとグラスになみなみ2杯分、2種類のヱビスビールに加え、おつまみに塩豆が出てくるんです。これだけでもツアー参加費の元が取れてしまいます!
おいしいビールをいただいている間にもブランドコミュニケーターがさまざまなビール知識を伝授してくれます。特に自宅でおいしくビールを飲む方法は、ビール好きなら必聴の内容!
もし試飲が終わってもまだ飲み足りないのなら「テイスティングサロン」に行ってみましょう。高級感の溢れるサロンに一瞬圧倒されるかも! こちらでも1杯400円という格安料金で各種ヱビスビールとビアカクテルを楽しめちゃいます。
ビアホールの日本における元祖でもあるヱビスらしくビールにぴったりの各種おつまみも提供してくれるので、そのままちょい飲みに移行するのもOKです。リーズナブルに「ちょっとぜいたくな」時間を味わえ、知識まで身につく激お得ツアーに参加しない手はありません!
【基本情報】
スポット名/ヱビスビール記念館
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス内
アクセス/JR山手線・埼京線、地下鉄日比谷線「恵比寿駅」東口より「スカイウォーク」で徒歩約5分
開館時間/11:00~19:00(ツアー最終回は平日17:10 、土日・祝日17:30)
入館料:
[自由見学] 無料
[ヱビスツアー] 大人500円、中学生~20歳未満300円、小学生以下無料(試飲2杯まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)