千葉県習志野市では、「閉鎖が決定した日から3日後以降の未提供分について減額(返金)を行う」としています。2日後までの給食費が返金されない理由については明言されていませんが、食材のキャンセルが間に合うのが3日後以降だと考えるのが妥当でしょう。
食材キャンセルの実務的な制約と保護者の不満解消の両方に配慮した、バランスの取れた対応といえそうです。
学級閉鎖で給食費が返金される学校もある
埼玉県さいたま市や兵庫県岸和田市(2025年1月から給食費無償化)では、学級閉鎖となった日数分の給食費を減額(返金)しています。ほかの自治体との違いは何でしょうか?
大阪府岸和田市では「学校給食費公会計化(市の予算化)により、食材発注に係る予算が安定したため」と説明しています。公会計化とは徴収した給食費をそのまま使うのではなく、いったん自治体の歳入(自治体のお金)とした上で、給食にかかる費用を予算計上し、その中から自治体が歳出する仕組みです。
なお、前記したさいたま市も給食費を公会計化しています。公会計化によって費用を柔軟に使うことができるという面があり、それが学級閉鎖時の返金を可能としているともいえそうです。
給食費を返金できるかどうかは学校が決めることではない
給食費の扱いについては、学校単位ではなく学校給食費徴収規則など自治体が定めた規則によって決まります。そのため、学校に直接返金を求めても対応は難しいのが現実です。
特に、公会計化が導入されていない自治体では、学校が直接給食費を管理している場合が多く、給食を実施しなくても発注済みの食材に対する費用が発生しているため、返金できるお金が残りません。保護者への返金は現実的ではないのです。
一方、給食費の仕組みを変えることで返金を実現している自治体もあります。そういった自治体の例を知ると、「なぜ自分の自治体は対応してくれないのか」と不公平感を抱くこともあるでしょう。
こういった状況を打破するためには、市町村に直接意見を伝えたり、選挙のときに関連政策を掲げる候補者を支持したりすることが有効かもしれません。