「上げ底」の弁当で、期待した量が入っていないと、消費者としては「だまされた」と感じることもあるでしょう。他者をだますという行為は、民法上「詐欺」にあたります。民法では「詐欺による意思表示は、取り消すことができる」とあるため、もし詐欺にあった場合は、その取引を取り消しできるのです。
 
例えば、「牛肉100パーセントのハンバーグ」という名前で販売しているのに、実際は豚肉を使ったハンバーグを提供していたという場合がこれに該当します。一般的に豚肉は牛肉よりも安価であることが多く、牛肉と偽って実際は豚肉を提供していたとなれば、「不当な価格のハンバーグ」となり、消費者に不利益が生じます。
 
このような場合、消費者は「豚肉のハンバーグ」と気づいた時点で返品したり、料金の支払いを拒否したりできるのです。
 

コンビニ弁当の上げ底が詐欺にならない理由

コンビニの「上げ底弁当」が詐欺に当たるかどうかは、コンビニ側に「消費者をだまそう」とする意思があったかどうかが争点となります。コンビニ弁当は、成分表示のラベルが貼られており、弁当に使用された材料や調味料のほかに、全体のグラム数が表示されています。
 
一見大盛りに見えるけれど、実は上げ底でごはんやおかずの量が少なかったというケースであっても、ラベルを見れば実際の量が分かるので、消費者側が確認できる状況にあります。そのため、コンビニ側が、弁当の詳細を明らかにしている以上、「詐欺」には該当しないと解釈することができるのです。
 

コンビニ弁当を買うときは、見た目だけでなくラベルもよく見て購入を

コンビニ弁当の「上げ底」に関して、消費者の視点からすると「量が少なくて期待外れ」「見た目にだまされた」とネガティブな感情になってしまうこともあるでしょう。しかし、上げ底は必ずしもデメリットだけでなく、運搬上の理由や加熱ムラを防ぐといった、企業の工夫という側面もあります。
 
コンビニ側が成分表のラベルで、弁当の中身や量を開示している以上、見た目よりも量が少ないからと言って「詐欺」とは言えません。今後特に「量」を重視してコンビニ弁当を購入する際は、見た目だけで判断するのではなく、ラベルもよく確認して、納得したうえで選択する必要があるでしょう。
 

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