ラーメン店にとって1杯をシェアされる行為は、経営上の痛手になり得ます。特に、大盛りを注文してそれを2人でシェアすることは、店側としては避けてもらいたい行為の1つでしょう。
 
ラーメンの原価率は一般的に30~35%と言われています。例えば、原価率30%の900円のラーメンでは、原価が270円、利益が630円となるわけです。通常、麺の1杯分は150グラム程度で、その原価は60円とされています。
ここで大盛り(麺をさらに150グラム追加)を100円で提供すると、追加の原価は60円で利益は40円増えます。つまり、大盛り1杯の利益は670円です。
 
2人がそれぞれ普通盛りのラーメンを1杯ずつ注文した場合は、900円×2杯=1800円の売上に対して原価が540円、1260円の利益が得られます。しかし、大盛りをシェアされると、大盛り1杯で得られる利益670円は、普通盛りを2杯注文してもらった場合の1260円と比べて大幅に少なくなるのです。
 
もちろん、以上の数字はラーメン店によって異なります。しかし、普通盛り2杯に比べて、大盛り1杯の利益が小さいことは明らかでしょう。
 
2人分の席を占有しているにもかかわらず、こうした利益の減少が生じることで、特に回転率が重視されるラーメン店にとっては大きな痛手となります。そのため、「1人1杯の注文をお願いしています」とルールを定めるお店が多いのも納得できるのではないでしょうか。
 
もっとも、逆にシェアを許可することを経営戦略の1つとして考えるお店もあるかもしれません。例えば、客足が少ない時間帯や常連客に対するサービスの一環としてシェアを許可することで、店の雰囲気を柔らかくし、リピーターを増やそうという考えです。
 
もしくは、顔馴染みで「混んでいる時間にシェアをするなど、お店が困ることはしないだろう」という信頼関係が成り立っていたからこそ、シェアを許してくれたのかもしれません。
 
このような場合は、お店の厚意に感謝し、その言葉に甘えても良いでしょう。とはいえ、こうした対応は例外的なものであり、お店のルールを確認したうえで利用することが大切です。
 

お店の気持ちを考えて食事をすることも大切