仮想通貨市場が大荒れの中、9月末にXRP(リップル)の価格が高騰した。これにともない、史上初めて、Googleの検索数を示すトレンドで、リップルがビットコインを上回った。それほどリップルへの注目は高まっている。
リップルとはどんな仮想通貨?リップルの基本情報
正確にはリップルは仮想通貨ではなく、サンフランシスコに本社を置く「リップル社」が発行した送金・決済システムだ。そこで使われている仮想通貨「XRP」を俗称で「リップル」と呼ばれている。最初にXRPが誕生した時は1XRP=1円以下であったが、その後、送金を素早く行える機能が高く評価されはじめ、注目を集めるようになった。
そして、2017年はじめには、1XRP=約3円ほどだったXRPが、2017年後半にかけて高騰し、12月には一時400円近くの値をつけるなど、多くの注目を集めている。
リップルの発行枚数が多い理由は?
XRPの発行枚数は1,000億枚とされている。ビットコインやビットコインキャッシュの発行上限2,100万枚などと比べるとXRPの発行枚数は多いと言える。
発行枚数が多い分、価値は上がりにくいと思えるかもしれないが、イーサリアム(ETH)のように発行上限が決められていない仮想通貨も存在する。それらに比べると、「発行枚数が限られている」ということは、希少性が高い分、その価値を保持しやすくなるからだ。
XRPの発行枚数が多い理由は、XRPが年間6,000憶ドルともいわれる国際送金市場で使われることを目的にしているからだ。皆が簡単にXRPを保有し、送金に活用できるように、発行枚数が多く決められているのである。
リップルの特徴 他の仮想通貨との違いは?
XRPが他の仮想通貨と異なる点は、送金のスピードがとても早いことだ。ビットコインでは最短でも10分ほどはかかる送金がXRPだと数秒で完了する。XRPの送金は手数料が低いため、銀行や送金業者にとってもXRPを利用するメリットは大きいのだ。
現在の国際送金市場はJPモルガンやシティグループなどの金融機関により独占されており、送金も2日以上はかかっている。しかし、「早く、安い」XRPを使うと、通常であれば2日以上かかっていた国際送金を5秒で終わらせられ、かつ手数料も安い。銀行や金融機関にとって、XRPを利用した国際送金はとても魅力的なのである。
リップルは中央集権的な仮想通貨
XRPが他の仮想通貨とは違うもう一つの点は、XRPはリップル社によって管理されているところにある。ビットコインなどの仮想通貨は、非集権通貨と言われており、誰からも管理されない仕組みとなっている。取引承認作業である「マイニング」も、不特定多数の人が参加できる仕組みだ。
しかしXRPの場合は、リップル社が管理を行っており、取引承認処理も、リップル社が認定した承認者しか行うことができない。他の仮想通貨に比べてXRPは中央集権的なため、批判されることもある。しかしそれは、リップル社の経営陣がスムーズに意思決定を行い、金融機関や企業などとの提携契約を結びやすいというメリットにもつながる。
リップル社はビルゲイツ財団と提携して開発を行っており、世界数十ヵ国の銀行や決済業者とも既に提携。XRPを利用した送金実験も行っている。多くの機関と提携ができたのは、リップル社と、その経営陣がいるからだともいえる。意見をまとめ、提携などの実行に移すことが容易なことが、リップルのような中央集権型の仮想通貨のメリットなのである。