中国平安とファーウエイ

中国平安は、保険会社から出発し、銀行、投資信託を含む総合金融グループに成長した。金融と医療健康産業が2本柱である。

董事長兼CEOの馬明哲は次のように述べている。「平安には、長年にわたる金融と医療のデータがある。人工智能、ブロックチェーン、クラウドコンピューティング等の最先端技術もある。そしてスマートシティのプラットフォームを完成させた。行政、安全防災、交通、教育、医療、養老、環境保全などの部門で、全国100都市、また一帯一路沿いの国と地域でも推進している。」ほとんどIT企業と遜色ない体制を整えている。

特に深セン市との関係は深い。両者は共同で疾病予防センターを設立した。平安の持つ健康医療ビッグデータを利用し、先進的なAI医療システムを構築する。そして、慢性病、多発病、伝染病に対する、防疫モデルの建設を目指すという。

これらのシステムを陰で支えるのは、ハードメーカーの巨頭・ファーウエイ(華為)だ。同社は通信設備の製造、販売会社としてスタートした。今ではスマホの方が有名だろう。何しろ2018年第二四半期のスマホシェアは世界2位である。そして業務範囲は、5G、AI、IoT、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどの運用にまで広がり、やはりIT企業と変わらない。目標はスマートシティの“神経系統”を担うことである。

PATHの激戦

PATHのうち、アリババ(杭州市)を除く3社は、深セン本社である。深セン市のIT産業規模は、2兆5000億元に達し、全国の7分の1、付加価値では3分の1を占める。高い国際的競争力を備えた企業が多い。中国のシリコンバレーと呼ばれる所以である。今後もスマートシティ建設基地としての役割を担っていくだろう。

博覧会に出席した国家発展改革委員会(経済政策の司令塔)の副主任は、「新技術を投入して都市計画と建設、管理とサービスのスマート化を推進する。その結果、都市行政は精緻化され、企業活力のアップ、人民生活の向上、の両方に寄与することができる」と述べた。

保険、IT、メーカーと出自の違うPATHの4社だが、スマートシティ建設では、同じような体制を整え、激しい陣取り合戦を行っていた。深セン企業の持つ、北京にはない自由な発想は、アドバンテージだろう。そして競争が続くかぎり、進化もそれに追随する。

かつて中国地方政府の課す煩雑な手続きは、外資企業にとって非効率の極みであった。どうやらそれも面目を一新しつつあるようだ。今後の動きに注目していきたい。

文・高野悠介(中国貿易コンサルタント)/ZUU online

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