「私の本には変わった特徴があります。私の本を買ってくれる人の多くは、若い読者なのです。小学生といった子供の読者もいます。日本の出版業界の人たちは、その事実に驚いています」
『変な絵』をはじめ、その著作が多くの若者たちに受け入れられている理由について、自身の考えを述べた。
「ひとつ目は『読みやすさ』です。私は複雑なトリックやストーリーのポイントを説明するために、よく図を使っています。マンガに少し近くなるため、若者は読みやすいと感じるのかもしれません。私は『コミック風小説』『マンガ風小説』と呼んでいます。私の本を通して、日本の若い人たちに小説を読む楽しさを知ってもらいたい。そして将来、もっと難しい小説を読むことに挑戦する勇気を持ってほしい。それが私の願いです」
また、日本の若者の間でホラーがブームとなっていることも大きな理由の一つとして挙げる。
「しかし、怖いお化けや恐ろしい怪物が登場するような伝統的なホラースタイルは人気がありません。今、多くの日本人は、静かで不気味な、不安な気持ちにさせる物語が好きみたいです。そして、そのような不安な物語こそ、私が書いているものです。これが、私の本が若い読者に人気がある最大の理由かもしれません」
ちょっと異様な見た目に関する質問も…「意外と子供に人気」
「今の世界は、日本も含めて、悲しいことばかりで大変な時代です。もしかしたら、若い人たちや子供たちは、そのような不安な空気を感じ取り、このような不安な物語に目を向けているのかもしれません。とても悲しいことです。すべての子供たちが何も心配することなく成長できればいいのですが、私にはそれを実現する力はありません。だから代わりに、私は良い物語を書いて若い人たちに楽しんでもらいたい」と、スピーチを締め括った雨穴氏。
その後の質疑応答では、覆面作家として現在のビジュアルで活動することになった理由に関する質問があり、次のように語っていた。