2018年1月よりつみたてNISAがはじまりました。つみたてNISAとはどのような制度なのか、利用するメリットはあるのか、40歳からつみたてNISAをはじめるとどうなるのか?制度内容から利用法までお伝えしたいと思います。

つみたてNISAとは資産形成を支援する非課税制度

(写真=PIXTA)

つみたてNISAとは、資産形成を支援する非課税制度です。資産形成の手段は、投資信託での積立です。何が非課税になるのか、というと、投資信託の運用益です。通常であれば、運用益に対して約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAであれば、税金はかかりません。

つみたてNISAの非課税メリットは大きい

この非課税メリット、どの程度の効果があるか想像できるでしょうか。実は、かなり大きいのです。例えば、毎月3万円、20年間積立をして、その間3%の利回りで運用できたとしましょう。すると、その運用益は約260万円になります。通常であれば、この利益に対して約20%の税金がかかりますから、税金は52万円。大きな金額です。しかし、つみたてNISAであれば非課税ですから、52万円を支払う必要はありません。

制度ができた背景には資産形成を自らして欲しいという国の想いが

このような制度ができた背景には、低金利や人口減少・高齢化といった社会的背景があります。国だけの力では、国民の生活を豊かにすることはできない、非課税という特典をつけるから、自らで資産形成をして欲しいという国の想いがあるのです。

つみたてNISAとNISAはどんな点が違う?比較してみよう

(写真=PIXTA)

つみたてNISAより一足早く、2014年にNISAがスタートしています。NISAもつみたてNISA同様、資産形成を支援する非課税制度ですが、非課税上限額や期間などが異なります。それぞれの制度の違いは、下記の表の通りです。
 

 
NISAでも積立は可能ですが、非課税期間が短いため、積立には不向きです。NISAはどちらかというと、株式取引などをする方におすすめの制度です。
なお、NISAとつみたてNISAを併用することはできません。どちらか一方の制度を選択することになります。
## つみたてNISAが投資初心者におすすめな3 つの理由
(写真=PIXTA)

つみたてNISAのメリットは、非課税という税制優遇があることはもちろんですが、投資初心者がはじめやすい制度であることもメリットだと言えるでしょう。その理由は3つあります。

まず、1つ目は、つみたてNISAで購入できる金融商品は金融庁が設定したレベルをクリアした商品のみであるということです。

2つ目は、投資信託は元本保証のない金融商品ですが、積立の仕組みを利用すれば、リスクを軽減させる効果があるということです。投資信託の価格は毎日変化します。高い日もあれば、低い日もあります。毎日価格が変化する投資信託を毎月一定額購入することは、平均取得単価を下げる効果があり、その結果、リスクを軽減させる効果があるのです。

3つ目は、基本的にほったらかし投資で問題ないということです。

このように、つみたてNISAは、初心者におすすめの仕組みが、すでに出来上がっている制度と言えます。

では、つみたてプランのつくり方をみてみましょう。40歳の女性がつみたてNISAをはじめるとします。この女性には60歳になるまでに老後資金として1,000万円をつくりたいという希望があります。積立上限額は年間40万円ですから、1ヵ月あたりの積立額は約3万円です。毎月3万円を20年間積立続け、1,000万円をつくるための必要な利回りは約3%です。なお、利回りは、下記のサイトで計算が可能です。

モーニングスター「金融電卓」
そこで、トータルリターンが年率3%を超えるつみたてNISAの投資信託を調べてみると、次の8つの商品が該当しました(過去10年においてトータルリターンが年率3%を超える投資信託の一部を抽出)。

  • DCニッセイワールドセレクトファンド(債券重視)・・・年率リターン3.95%
  • DCニッセイワールドセレクトファンド(標準)・・・年率リターン5.18%
  • ダイワ・ライフ・バランス30 ・・・年率リターン 4.39%
  • ダイワ・ライフ・バランス70 ・・・年率リターン6.87%
  • ひふみ投信 ・・・年率リターン18.07%
  • セゾン資産形成の達人ファンド ・・・年率リターン12.06%
  • 年金積立Jグロース ・・・年率リターン9.69%
  • フィデリティ・米国優良株・ファンド ・・・年率リターン10.9% 過去のトータルリターンが将来も続く保障はありません。ですから、このリターンだけを見て判断してはいけません。何に投資しているかが重要です。ただ、数ある投資信託の中から、すべてを調べるのは大変ですから、このように、条件を決めて一定数を抽出してから、調べる方法もあります。

    これらの情報は、モーニングスター「つみたてNISA対象ファンド一覧」のサイトで調べることができます。一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

    つみたてNISAは長期間積み立ててこそ利益が増える可能性があるもの

(写真=PIXTA)

つみたてNISAはいつでも引き出しができますし、いつでもやめることができます。しかし、長期間積み立ててこそ利益が増える可能性があるので、できれば短期間で引き出したり、やめたりしないようにしたいものです。短期間ですと元本割れしている可能性も高いですから、当面使う予定のない金額で積み立てるようにしましょう。

つみたてNISAには、このように注意点もありますが、仕組み自体は初心者向きにできています。資産運用に興味があるという方には、つみたてNISAから運用をはじめてみてはいかがでしょうか。

文・前田菜緒(CFP 1級ファイナンシャルプランナー)

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