前述の通り、拠出する掛金は全額が非課税となり、社会保険料の負担が軽減します。
厚生年金において、受け取る年金の総額は保険料を納めた期間と金額によって異なります。同じ期間社会保険料を納めていても、途中で納める金額が少なくなるとその分将来受け取れる年金額が少なくなる可能性があります。
年金額以外に影響が出る手当とは
もしもの際に支給される手当や年金の中には、在職中の給与額に応じて金額が決まるものがあります。企業年金に掛けている金額分は控除されるため、手当額が減ってしまう場合があります。
支給額に影響する手当・年金の代表例は以下の通りです。
・傷病手当金
業務外でのけがや病気で休業した際に受け取れる手当です。給与額の3分の2ほどの金額が支給されるため、企業年金に多く掛けているとその分給与が減る計算となり、支給額が下がります。
・出産手当金
出産のために会社を休んだ際に受け取れる手当です。こちらも傷病手当金同様に給与額の3分の2ほどを支給する計算のため、支給額が下がります。
・障害厚生年金
病気やけがで就業が困難になった際に支給される年金です。厚生年金額に応じて支給されるため、納める社会保険料が下がると厚生年金と同様に支給額が下がります。
・遺族厚生年金
亡くなった際に遺族に支給される年金です。こちらも障害厚生年金と同様に厚生年金額に応じて支給されるため、連動して支給額が下がります。
節税になる分、支給される各種手当にも影響が出る可能性がある
企業年金は、掛け金の全額が所得控除となり将来の貯蓄に加えて節税対策もできる制度です。社会保険料が下がるのはうれしいですが、納める保険料が減り、社会保険料・税金の対象となる給与額が下がることで、万一の際に支給される手当・年金の金額が減る可能性があることも覚えておきましょう。
いくらまで掛けるべきか、どの程度なら影響が出ないかについては、一人ひとりの給与や加入する健康保険、扶養家族の有無などによって異なります。企業年金に加入する際は、将来の年金や各種保障を踏まえた上で掛け金を決めましょう。