結納では、独特の言い回し(挨拶)や口上と言われる決まった言葉を述べる場があります。しかし、普段の会話では使わない言い回しだけに、戸惑ってしまう方も少なくはありません。そこで本日は、結納に関する基本情報をはじめ、結納を行う際に使う挨拶や口上の例文についてご紹介します。この記事を読めば、安心して結納当日の朝を迎えられます◎
婚約の儀式である結納。結納では、独特の言い回し(挨拶)や口上と言われる決まった言葉を述べる場があります。しかし「幾久しく」など、普段日常会話では使わない言い回しだけに、戸惑ってしまう方も少なくはありません。
そこで本日は、そもそも結納とは?といった基本的な情報をはじめ、結納を行うご家族の割合、結納を行う際に使う挨拶や口上の例文についてご紹介します。この記事を読めば、安心して結納当日の朝を迎えられるはずです。
そもそも結納とは?
日本独特の文化である結納。そもそも結納とは、子どもたちの結婚を通して新しく家族になる両家の縁を結んで納めるための大切な儀式。伝統に則して行う分、人によってはやや仰々しく感じるかもしれません。
また結納には正結納と略式結納の二種類があります。正結納とは仲人が両家を行き来して結納品・受書のやりとりを行うため、一般的には両家の家族は直接会うことはありません。一方、略式結納では新婦の家や料亭、ホテルなどに両家が集まり、結納品や受書を取り交わします。
近年選ばれているのは「略式結納」
近年多くの家族に選ばれているのは後者の略式結納。両家が顔を合わし、食事会や歓談を通して両家の仲を深めようと考えるご家族が多いようです。
略式と言われると顔合わせ食事会と何が違うの?と疑問に思う方もいるかと思いますが、略式結納では、正式な結納の流れを簡略化しつつも、伝統的なマナーや品物のやり取りを重視します。
顔合わせ食事会では結納品や儀式的な部分を省略し、会話や食事を中心としたリラックスした場となるので、その点が違うのです◎
近年ではそもそも結納を行う家族が減少傾向にあるといったデータもあります。実際にあるアンケート結果によると結婚したカップルの内、結納を行ったカップルの割合は僅か二割程度。本人や両親の強い希望がない限り、結納は行わず、両家顔合わせ食事会で完結するご家族も多いようです。
結納の基本的な流れ
地域差が出やすい結納の流れ。ここでは、最もベーシックな結納の流れについてご紹介します。
- 01:入場
02:はじめの挨拶
03:結納品と受書の取り交わし(男性→女性)
04:結納返と受書の取り交わし(女性→男性)
05:婚約記念品のお披露目
06:締めの挨拶
上記流れのうち、挨拶や口上を述べるのは入場以外の全て。ほぼ全てのプログラム内で挨拶や口上が登場するので、最初は戸惑うかもしれませんね。しかし、この記事でしっかりと予習をしておけば、当日自身を持って臨めるはずです。
02:はじめの挨拶
両家が集まり、席に着いたら結納の儀式をはじめる挨拶を行います。一般的にはじめの挨拶は男性側の父親が執り行うことが多いようです。父親がいない場合は、本人もしくは母親が挨拶の役割を務めます。
- ◆本人主体
このたびは由美子様と福太郎との縁談をご承諾くださいまして、ありがとうございます。本日はお日柄もよろしく、結納の儀を執り行わせていただきます。
◆家が主体
このたびは田中家の二女・由美子様と私どもの長男・福太郎との縁談をご承諾くださいまして、ありがとうございます。本日はお日柄もよろしく、結納の儀を執り行わせていただきます。
03:結納品と受書の取り交わし(男性→女性)
結納品と受書の取り交わしでは、男性側から女性側に対し、結納の品物を納めます。それに対し受書はいわゆる受領書のような役割を果たすアイテム。女性側が男性側に対し、「確かに結納品を受け取りました」という意味を込めて、お渡しします。
- 本人主体
こちらは福太郎よりの結納品でございます。幾久しくお納めください。
◆家が主体
こちらは中村家からの結納品でございます。幾久しくお納めください。
また、どの場合も結納品を受け取ったら女性側の父親(いない場合は母親)もしくは、女性本人が「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします。」と返答します。返答後は女性側から男性側に受書をお渡しします。
- ◆本人主体
こちらは由美子からの受書でございます。幾久しくお納めください。
◆家が主体
こちらは田中家からの受書でございます。幾久しくお納めください。
女性側から受書を受け取ったあとは、受け取った方が中身を確認したあとに「相違ございません。お受けいただきありがとうございます。」と伝えて、結納品の受け渡しは終わります。
ここで絶対に覚えておきたい言葉は【幾久しく】。普段使わない言い回しだからこそ、緊張でド忘れしないように気を付けたいところです。
また、「親族書」や「家族書」を渡すときには男性側が結納の際に用意する目録と一緒に渡します。
結納の席では、「白木台」と呼ばれる浅いお盆のようなものに結納品を入れるのが習わしとなっています。
女性側は結納の際に用意する受書を乗せる片木(へぎ)に入れます。
その一番下に「親族書」、「家族書」の順に重ねて入れ、結納の目録や受書などはその上にくるようにして手渡すのがマナーです。
縮緬や白山紬(高級絹織物)の風呂敷で包んで持参しましょう。
04:結納返と受書の取り交わし(女性→男性)
結納返では、結納品のお礼として女性側からお返しの品物を贈ります。結納返に関しては、後日男性側のご自宅に贈るパターンや、そもそも結納返を行わないパターンなど、各家庭・地域により異なります。また、受書に関しても省略するケースもあります。
また女性側から結納返を渡す場合や、男性側が結納返に対して受書を渡す場合も「03:結納品と受書の取り交わし(男性→女性)」と同じように口上を述べます。ここでもポイントは【幾久しく】なので、この言葉はしっかりと覚えておきましょう!
05:婚約記念品のお披露目
婚約記念品のお披露目に関しては、マストではないものの演出として取り入れるのがおすすめ。女性側は男性側から贈られた婚約指輪のお披露目を行い、男性側は女性側にお返しとして贈られたギフトをお披露目しましょう。
婚約記念品のお披露目を行うことで、両家の間で会話が広がるきっかけにも。この機会に両家の絆をぐっと深めましょう。
- ◆女性側が婚約指輪をお披露目する場合
このたび婚約記念品として、福太郎さんから婚約指輪をいただきました。すでに身に付けていますが、改めてみなさんにお披露目させてください。
◆男性側が御礼の品をお披露目する場合
このたび婚約記念品として由美子さんから◯◯(ギフトの名称)をいただきました。是非みなさんにお披露目させてください。
婚約記念品のお披露目に関しては「こうでなければダメ」といった厳密なルールはありません。結納の場であることを心得、丁寧な言葉使いを心掛けるようにしましょう。
06:締めの挨拶
締めの挨拶に関しても、はじめの挨拶と同様に一般的には男性側の父親が行うことが多いようです。もし父親がいない場合は、本人もしくは本人の母親が行いましょう。
- ◆男性側の親
本日は誠にありがとうございました。おかげさまで、無事結納を納めることができました。今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。
◆女性側の親
こちらこそ、本日は誠にありがとうございました。今後とも末永く宜しくお願いいたします。
もし本人たちが締めの挨拶を行う場合は、今日という日におふたりのためにわざわざ集まってくださったことへの感謝の気持ちを述べるとともに、これからの抱負や今後もおふたりのことを見守ってほしい旨をお伝えしましょう♡