“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)
そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。
目次
・年末年始、帰省する家族を迎え入れる側の大変さ
・毎日夫が家にいる年末年始を考えると憂鬱
・夫だけ実家に帰省することに……義母は8年前に認知症を発症
年末年始、帰省する家族を迎え入れる側の大変さ
1月も半ばを過ぎた。読者の皆さまはどんな年末年始を過ごされただろうか。SNS界隈では、夫の実家に行くのが苦痛という話で盛り上がっていたようだが、都会に住む子どもやきょうだい家族を迎え入れる大変さもわかってほしいという切実な声も多く目にした。子どもが中年以降になると、帰る実家があるだけ幸せだとも思えるのだが。
先日、若年性認知症の妻を10年以上在宅で介護する60代男性が、年末年始は妻をショートステイに預けて、実家に帰省するとおっしゃっていた。60代で親が健在とはなんと幸せなことよ。
詳しい事情はわからないが、少なくとも日々の妻の介護を忘れて、親孝行を兼ねてゆっくりお正月を過ごすつもりなのだろうと推測され、少しホッとした。
それと同時に、彼を受け入れる老親、特に母親は、息子が帰省してうれしい半面、気が重くはないのだろうかとも思った。もしかすると、老親と同居する長男家族とか、娘家族などがいるのかもしれない。そうだとしても、老母や長男の嫁、娘は正月の準備に加えて、遠方からの泊まり客(きょうだいではあるが)を迎える準備で大忙しだろう。
そんな想像をしたのも、茂木早苗さん(仮名・62)の話を聞いたからだ。
毎日夫が家にいる年末年始を考えると憂鬱
茂木さんの両親はすでに亡い。家を出ている子どもたちは独身なので、年末年始に帰省しても特に気を使うこともない。もう何年も変わらない家族水入らずのお正月だ。