また、本作『べらぼう』の世界を紡ぐ、脚本家の森下佳子氏と綾瀬は切っても切れない関係です。なんと2人がタッグを組むのは今回で8作品目。
初めてのタッグは2004年のドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』。綾瀬にとっては連続ドラマ初主演であり、世間から大きな注目を集めた作品です。それ以降2006年『白夜行』、2009年『MR.BRAIN』、『JIN-仁-』(2011年に続編)、2016年『わたしを離さないで』、2018年『義母と娘のブルース』(2020年・2022年にスペシャル)、2021年『天国と地獄~サイコな2人~』。全作ヒット! といっても過言ではないほど、話題になった作品ばかりです。
◆綾瀬のターニングポイントには森下氏の作品が
綾瀬が“ヒロイン”としての魅力を確実にしていった2000年代、そして俳優として大きく役の幅を広げていった2010年代、2020年代。綾瀬のターニングポイントには森下氏の作品がありました。なかでも、筆者が「綾瀬×森下タッグならでは!」と印象深いのは『白夜行』と『義母と娘のブルース』。
『白夜行』では幼なじみのために実の親を殺してしまう美しき殺人者を演じ、強く逞しい新たなヒロイン像で魅了しました。『義母と娘のブルース』ではスーパービジネスウーマンの不器用さと愛らしさが爆発。いずれも、綾瀬の新たな魅力を引き出したといえます。
今回、綾瀬はるかの語り起用を希望したのは森下氏だそう。耳にすっと入って聞きやすく親しみのある綾瀬の声が、作品にぴったりという理由だと語っていました(2024年12月16日マイナビニュース)。登場人物が多く、常識やしきたりも現代と大きく異なる時代背景で、重要となる“語り”。信頼のおける綾瀬に依頼するのは、当然だったのかもしれません。
◆次はどんな姿で江戸の町に登場するのか?
第1回ではサプライズ登場だったので、綾瀬の印象は強く残りました。しかし第2回では姿を表すことなくナレーションのみで語りをまっとう。おっとりした綾瀬らしい語り口は耳に心地良く、視聴者を自然かつ確実に、物語の世界へと誘導していました。