それでは、「103万円の壁が引き上げられると所得税がどうなるか」という話に移ります。
例えばパート主婦(主夫)の場合、計算式は以下のようになります。
A:収入金額-給与所得控除=所得金額
B:所得金額-所得控除(基礎控除)=課税所得金額
C:課税所得金額×所得税率=所得税
「103万円の壁を引き上げる」という話は、所得控除である「基礎控除」を引き上げるという話です。これをBの計算式に当てはめると、基礎控除が増えるため、課税所得金額が減ることが分かります。
つまり「103万円の壁を引き上げる」ということは、基礎控除を引き上げることで課税所得が減るため、所得税の金額も減ることにつながります。
まとめ
所得税が計算される流れを知っておくと、例えば今回の103万円の壁引き上げについて、すぐに「減税政策である」と判断することができます。ほかにも、例えば所得控除のうち寄附金控除を活用した「ふるさと納税」についても、利用したほうがよいと判断できます。
さらにiDeCo(個人型確定拠出年金制度)についても、掛金が「小規模企業共済等掛金控除」と呼ばれる所得控除であるため、すぐに「減税政策である」と理解することができます。
税金のことを知ることは、何も「損得勘定の話」だけではなく、「何のためにそのような税制にしているか」を理解することでもあります。国の政策の意図が分かれば、おのずと国がどのように国家の運営をしていこうとしているか見えてくるため、税金を知ることは家計だけでなく人生に取っても有意義なことであるといえるでしょう。
出典
国税庁 所得税のしくみ
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)