所得税が計算される流れを知っておくと、「103万円の壁の引き上げ」がすぐに「減税」政策であると分かる
「103万円の壁」は、税金に関わる壁です。国民民主党は「103万円の壁を178万円に引き上げる」と公約に掲げ、それ以降はメディアも含め大いに議論が盛り上がりました。   これをきっかけに、所得税の仕組みに関心を持つ人が増えたことでしょう。今回はマネーリテラシーを高めることを目的に、所得税の計算について簡単に見ていきます。

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所得税の計算の流れ

図表1は、所得税の計算の流れを示したものです。この流れを覚えておくと、ニュースなどで発信される所得税制の改正についてすぐに意味が分かるようになります。
 
図表1

図表1

※国税庁「所得税のしくみ」より引用
 
まず、Aの部分には「所得金額」の求め方が記されています。図表1の計算式には、「(収入金額)-(収入から差し引かれる金額)=所得金額」とあります。例えば会社員の場合、収入から差し引かれる金額が給与所得控除額になりますが、年収から給与所得控除額を差し引き、所得金額が求められます。
 
ここで覚えておきたいのが、「収入と所得は意味が違う」ということです。収入は単純に「稼いだ金額」ですが、所得は「収入から必要経費とされる一定の金額を差し引いたもの」です。
 
所得金額を計算した後は、Bの「課税所得金額」を求めます。
 
課税所得金額とは、所得税の算出対象になる所得金額のことです。ここでは、所得金額からいわゆる「所得控除」の額が差し引かれます。所得控除は基礎控除や扶養控除、配偶者控除など15種類あり、要件を満たせば所得金額から差し引くことができます。
 
そして課税所得金額を計算した後、所得税率を掛け、Cの「所得税額」を求めます。
 
なお、D以降の計算は少し難しくなるため、ここでは割愛します。
 

103万円の壁を引き上げることは、所得税の減税につながる