そして身軽になったからか、体を思いっきり振ったり、どうにか手から逃れて部屋を走り回ろうとするのです。完全に、自ら暴走するうんち爆弾です。そんなうんち爆弾は部屋中を軽やかに走り周り、“黄色い痕跡”をあちらこちらに残していったのです。
◆赤ちゃんネコがぐったりして震え出した
とにもかくにも、便秘が解消して一安心……と思いきや、先ほどまでうんち爆弾としてピンボールのごとく部屋中を暴走していた赤ちゃんネコが、ぐったりしているではありませんか。動かないどころか、かすかに震えています。
まだ生後数週間ほどで、ちょっとした異変を見逃してしまうと命にも直結してしまう。焦った私は、24時間診療している緊急動物病院に電話をかけました。
「すみません、一気にうんちが出た直後は元気だったんですが、しばらくして身動きがとれないほどぐったりしてしまって」
一部始終を話すと、冷静な獣医さんから一言。
「落ち着いてください。それは動物の話ですよね? なんの動物ですか?」
あまりにも慌てすぎてしまい、一方的に、「30代女性の便秘解消報告」ともとられかねない謎の迷惑報告をしていました。
その後赤ちゃんネコの状況を説明すると、先生からは、「急な排便で、一時的に低血糖状態になっているのかも。ガムシロップなどがあれば、少しずつ舐めさせてみてください」と教えてもらいました。
◆元気を取り戻してひと安心。だけど……
そしてガムシロップを買いにコンビニまで全力ダッシュをかまし、うんちまみれのねりがらしネコは、ゆっくりと元気を取り戻したのでした。
ただ、私のお気に入りのまくら一面に“ねりがらし”を塗りたくったことは、今でもまだしっかりと根に持っています……。
<漫画・写真&文/青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird