今後、「結婚・子育て資金」の特例が廃止されると贈与税はどうなるのでしょう。税制改正が行われた場合、どのような税率となるか現段階でははっきりしませんが、仮に現行通りの一般贈与税の計算の割合で課税された場合で考えてみましょう。
 
現行の税制度では、1年間に110万円を超える贈与があると、110万円までは非課税でそれを超えた額に贈与税がかかります。この課税の割合と控除額は超過部分の金額に応じて異なっています。
 
仮に800万円の「結婚・子育て資金」を祖父から孫へ一括贈与した場合、今までの特例を利用すれば、全額非課税となっていました。この特例が廃止されると、税金は次のように計算されます。
 
800万円-110万円(非課税分)=690万円
690万円×40%(税率)-125万円(基礎控除)=151万円(贈与税)

 
このように、同じ800万円の贈与でも、非課税の特例を利用した場合とそうでない場合では大きな違いが出てきます。そのため、この非課税の特例が廃止された場合は、暦年課税の非課税枠である「年間110万円」を超えないように、その都度贈与するのが節税の1つの方法となるでしょう。
 

今後の動向に注目。贈与は計画的に

今後「結婚・子育て資金」の非課税制度が廃止されると、将来的に贈与税の負担が増えることが考えられます。結婚や育児のためにと一括で贈与を行うと高額な税金がかかるかもしれないので、早い段階から「暦年贈与」を活用するのも1つの方法でしょう。
 
贈与を考えている人は、今後の動向をしっかりと確認するだけでなく、今から長期的に計画を立てて、贈与のタイミングを検討するのがいいかもしれません。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級