現行制度では、老齢厚生年金と給料をあわせて50万円を超えなければ年金は全額支給されるため、給料だけで月収50万円を超えるような場合を除いて特に気にする必要はないと思われます。
働きすぎると年金を減額される点を懸念する人もいるかもしれませんが、もはや年金だけで老後の生活を維持するのは困難といっても過言ではありません。総務省統計局が公表しているデータによると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の2023年の実支出は28万2497円です。
大きな病気やけがで通院や入院をするなど、想定外の出費が重なる可能性もゼロではないことを考慮すると、年金以外の収入源を構築することは今後ますます必要不可欠となるでしょう。個人の状況や価値観次第ではありますが、年金はあくまで「保険」と考えて、できる限り老後も働き続けるのも1つの考え方です。
在職老齢年金制度が今後変わる?
現在、在職老齢年金制度の見直しが検討されており、厚生労働省は下記3つの案を提示しています。
・在職老齢年金制度の撤廃
・支給停止の基準額を71万円に引上げ
・支給停止の基準額を62万円に引上げ
年金支給停止基準額の撤廃や引き上げが行われると、高齢者の就業意欲は高まる一方で、支給額が増える年金の財源をどうするのかといった問題に直面することも考えられます。年金制度は今後もさまざまな観点から改正される可能性もあるので、注目していく必要があります。
まとめ
本記事では定年後も働いて「月収30万円」を受け取る場合、年金を減額または支給停止されるのか解説しました。働きすぎると必ず年金の支給額が少なくなるわけではなく、年金の基本月額や受け取る給料規模によって変わります。自身の生活環境、家計状況なども含めて考えていきましょう。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 第21回社会保障審議会年金部会 在職老齢年金制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー