◆分からなかったとしても、分かろうとすることが愛情
――真木さんはもともと同名の原作コミックのファンだったそうですが、かなえを実際に生きたことで、新しく見えたこと、感じられたことはありましたか?
真木「私は自分自身のことも分からないと話しましたが、本作でも、“人をわかるってどういうことですか?”というセリフが登場します。その言葉をより感じるようになりました。人のことを、100%分かることは無理だけど、大切な人であればあるほど、“分かろう”とはしたいというか、あと、分かった気にならないことが大切だと。そういったことをすごく気にするようになりました」
――分かった気にならない。
真木「もしかしたら、“この人ってこういう人だよ”とか簡単に言ってしまっていたことが、全然間違っていたかもしれないし、第一印象で“ちょっと苦手だな”と感じた人が、実はすごく気の合う人だったかもしれない。そうしたことが過去にあったのかもしれないなって。分かった気にならない。そのうえでやっぱり分からなかったとしても、分かろうとすることが愛情だと思うので、そういう行動はしていきたいな、大切にしていきたいなと、改めて感じられました」
<撮影・文/望月ふみ>
(C) 豊田徹也/講談社 (C) 2023「アンダーカレント」製作委員会
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi