また、今作は福澤監督が原作を初考案したオリジナルドラマであることも不安材料の一つ。
「まだ公表されていない脚本家次第というところはありますが、本職の作家による原作ではないというのは、危ない匂いがしますね。『半沢直樹』のメガヒットは堺×福澤氏の他に“原作・池井戸潤”という要素があった。また、主演の堺も『あまりに壮大で複雑でスピーディーな物語なので、準備が追いついていない状況』『正解は福澤監督の頭の中だけ』とコメントしており、大風呂敷を広げすぎると中身が追い付かない可能性がありますし、目まぐるしく話が動いて視聴者も理解できない、といった展開になる危険性もあります。福澤監督が『どんなドラマにも当てはまらない、日本ではあまり見たことのないドラマになる』『視聴者の予想を次々と裏切っていくエンターテイメントをお届けいたします』とハードルを上げているぶん、“キャストの無駄遣い”とならなければいいのですが……」(前出・テレビ誌記者)
そして何よりも、この「豪華キャスト」こそが最大の弱点になり得るという。
「キャストや制作陣が豪華だからといって成功するとは限りません。むしろハードルが上がり、より一層、内容に厳しい目が向けられます。2014年にフジテレビ開局55周年記念企画として放送されたドラマ『若者たち2014』は、主演の妻夫木聡をはじめ、永山瑛太、満島ひかり、柄本佑、蒼井優、長澤まさみらが集結しましたが、事前の注目度が大きかったぶん、厳しい評価が目立ち、初回の世帯視聴率は12.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)だったのが、第2話で7.8%と5ポイント近く下落。1966年に放送された昭和の物語をリメイクしたドラマでしたが、現代劇に昇華されていなかったため、ストーリーや演出に対して古臭い、時代錯誤だという声が多く、最終話は6.1%と、初回の半分以下の数字に終わってしまいました。『ラストマン』の最終回が13.4%を記録したこともあり、『VIVANT』の初回視聴率は15%超え、ひょっとすると20%超えもあるのではと期待されていますが、内容次第で『若者たち2014』の二の舞になるかもしれません」(同)
フランス語で「vivant」とは「生きている」という意味だが、今のところこのタイトルが指す意味も不明。製作費は通常の倍以上とささやかれているだけに、TBSとしては絶対に負けられない戦いとなりそうだが、はたして……。