22日に行われた『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で、令和ロマンが前人未到の2連覇を達成した。同時に、来年の不出場も明言している。

 そのブレーンである髙比良くるまは、『Mー1』後の令和ロマンをどう考えているのか。今秋に行ったインタビューで、その一端が語られていた。

『M-1』2タイムス王者になる前夜、くるまの頭の中を振り返りたい。

(初出:「日刊サイゾー」2024年11月6日)

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『M-1グランプリ2023』王者・令和ロマンの髙比良くるまが『漫才過剰考察』という本を出す。取材前にゲラを受け取り、一読して、クラクラしてしまった。文字通り、漫才が過剰に考察されている。年末の国民的行事となった『M-1』が今現在どんな状態にあり、昨年、自分たちがなぜ“優勝してしまった”のか。『M-1』に勝つ漫才と、寄席との関係性。お笑いそのものを東西のみならず、南北に分類した特色の違い。まさに縦横無尽、論の波に飲まれ、最後にはお笑いの波打ち際に放り出された。そういう読書体験だった。

 そのくるまに、話を聞きに行った。ここまで漫才について過剰に分析と考察を張り巡らせた本を書いて、また今年その『M-1』に出るのだという。現場で受け取った実本の帯には、霜降り明星・粗品の言葉として「お笑いの悪魔に魂売ったんやな」と記されていた。

──非常に興味深く拝読したんですが、口を挟めるところがないというか、くるまさんがそう言うならそうなんだろとしか……。あとがきにもありましたが、これを出すことによって「もうお笑いを語るのはやめようよ」みたいな意識があったんでしょうか。

くるま それはそうですね。分析したがりの人たちに読んでいただいて、これで一緒に分析できるぞと思ってもらって、最後にハシゴを外すわけじゃないですけど、最終的には「ね、こんなことになっちゃうんだよ」って。

──はい、まさに。

くるま こんなことにならないほうがよくない? っていう提示ですね。オレは芸人だし、楽しいんですけど、みんなは普通に楽しんだほうが得じゃない? っていう提言です。